この記事では、僕自身がBリーグの試合数増加や大規模アリーナの構想に関して、どのように感じているのかを書いてみました。
千葉ジェッツの島田社長によると大規模アリーナの構想は進んでいるとのことですので、大規模アリーナができることによるメリットやデメリット、リスクなどを、僕の見解を元に紹介できたらなと思います。
この内容を書こうと思ったきっかけ
今回、Bリーグの試合数増加や大規模アリーナに関する構想に対し個人的な見解を示そうと思ったのは、Twitterではどうしても自分の考えを広げられない、と思ったからです。
Bリーグの事務局長である葦原さんのツイートや、そのツイートに関するリプライを見ていて、感じたことがあったのですが、どうしてもTwitterで140文字で伝えるのは難しすぎます。
そこで、今回はClutch Timeにて僕自身の見解を示していくことにしました。
「大規模アリーナ」こそが多くの課題を解決する
まず僕が思っていることは「大規模アリーナ」の構想こそが、多くの課題を解決するということです。現状3年目のシーズンが終わったBリーグにおいて、個人的に課題だと思っているのは以下の面です。
- プレイオフのレギュレーションの分かりにくさ
- アリーナのほとんどがチーム運営ではない
特に1つ目に挙げた「プレイオフのレギュレーションの分かりにくさ」は、疑問しか湧いてきません。なぜ2戦先勝なのに、3試合目は変則的な試合時間になっているのか。
2つ目に挙げた「アリーナのほとんどがチーム運営ではない」というのは、書いた通りなのですが、このどちらもが大規模アリーナの導入により解決できると考えます。
そもそもなぜプレイオフの3試合目は”あの”形式なのか
そもそもプレイオフの3試合目がなぜあの形式なのか、僕の見解やTwitter上で以前見かけたツイートなどを元に、説明していきましょう。
日本の場合は、プロ野球を除きほとんどのプロスポーツが土日開催になっていますよね。もちろん平日開催の試合もありますが、プロ野球のようにほとんどが平日開催のプロスポーツは、まずありません。
Bリーグも2年目or3年目から平日に試合を開催するようになりましたが、平日開催はそれこそ「アリーナや観客の確保」が大きな課題になるわけです。ここがプレイオフにも関係してくるということですね。
Bリーグのほとんどのアリーナはチーム所有ではない場合が多いため、自由に使うことができません。基本的にプレイオフも土日の2連戦にて行われますが、万が一3試合目を通常のように10分×4Qのフルで開催するとなると、もう1日確保が必要となります。

このように考えたくもなりますが、勝ち上がってきたチームとの対戦のことも考えると、足並みを揃えておいたほうがいいんです。Bリーグの場合には、会場や観客の確保が難しいから。
NBAの場合は、チーム(運営会社)が所有しているアリーナですので、チームが自由に使うことができるわけです。そのため、例えば4試合でプレイオフのシリーズを勝ち上がったチームも、次の対戦相手が7試合で勝ち上がってきた場合にも、対戦相手に合わせることができます。
ですので、Bリーグの場合には3試合目を翌週の土日に開催するとなると、3試合目を勝ち上がったチームが対戦する相手は、また会場の確保などをしなければいけなくなるのです。
シーズン中のリーグ戦とは違い、プレイオフはいつ何試合で決着がつくかも分かりませんので、会場の確保などが難しいんですよね。
平さんのおっしゃる通り、GAME3は違和感だらけ。観ているこちらとしては。
なぜ1試合ではなく1Q分で決着をつけるのか。
会場の確保、集客など色々な要素が関係してるのはわかるが、納得いかないな。
ま、ここに伸び代があるという考え方もできるけど。 https://t.co/KKujMW9QUf
— 修一@バスケブロガー (@bskbsketter) April 27, 2019
大規模アリーナを導入するメリット
僕が思うに、大規模アリーナを導入するメリットは以下の点があると考えています。
- アリーナを自由に使えるようになる
- 会場設営などを、毎試合毎試合しなくてもよくなる
- グッズ販売店や飲食店を常設化できる
- VIPルームや、ボックス席のように、チーム(会場)独自の観戦スタイルを提供できる
- 「アリーナ」自体がコンテンツになる
- 新たなキャッシュポイントができる
それぞれ、僕の見解を述べていきますね。
アリーナを自由に使えるようになる
まず、チーム所有のアリーナを用意することで、市民体育館を使用している時にあった”制約”がなくなり、自由に使えるようになります。
アリーナを自由に使えるようになると、先ほど記したNBAのように柔軟にスケジュールなどを合わせることもできます。
会場設営などを、毎試合毎試合しなくてもよくなる
3年目が終了したBリーグは、市民体育館などをアリーナとして活用しているため、会場設営が大きな大きな負担となっています。試合開始までに設営し、試合が終了したら片付けを行うというのは、かなりの重労働でしょう。
自チームが所有するアリーナがあれば、毎週・毎試合のように会場の設営をしなくてもよくなりますので、スタッフの負担等を減らすことができるわけですね。
グッズ販売店や飲食店を常設化できる
前章にて記した「会場設営」と少し似た内容にはなりますが、グッズの販売店や飲食店を常設化できるようになります。
そのため、グッズの販売店には大型ビジョンを用意して常に映像が流れるようにしておいたり、チームカラーを全面に使って雰囲気を作り出すことも可能となります。
もちろん、設営の手間も省けることも、大きなメリットの1つですね。
VIPルームや、ボックス席のように、チーム(会場)独自の観戦スタイルを提供できる
いわゆるVIPルームや、ボックス席など、チーム(会場)独自の観戦スタイルを観客に提供することができるようになります。
例えば福岡のヤフオクドームは、外野スタンドの手前にホームランテラスが用意されていますが、Bリーグでも独自のアリーナを持つことで、ホームランテラスのような席を、自由に用意できるわけです。
チーム(会場)独自の席が用意できるようになると、その席の訴求を強めて集客に力を入れることもできますし、「この会場に行けばこんな席で観られる」という付加価値も用意できるようになります。
会場ごとに違う特別な席があることで、「今度は違う会場の独自の席で観てみたいな」と思わせることも可能になるため、他会場へ足を運んでもらうことも促すこともできるようになり、Bリーグ全体に影響を与えられるでしょう。
「アリーナ」自体がコンテンツになる
意外にも見落とされていると思うのですが、アリーナがあることで、そのアリーナ自体がコンテンツになります。試合観戦はもちろんのこと、アリーナに足を運ぶことに楽しみや価値を与えることができるようになれば、試合だけではなくアリーナ自体がコンテンツとして活かせるようになるんです。
試合の時間だけではなく、試合”前”の時間でも、そのアリーナでしか体験できないイベントやコンテンツを用意することで、アリーナ自体を1つのコンテンツとして捉えることができるようになります。
新たなキャッシュポイントができる
自分たちのアリーナを持っていると、新たなキャッシュポイントが確保できるようになります。例えばアーティストのライブや何かしらのイベントに貸し出すこともできますね。
Bリーグの場合には平日はあまり試合が開催されませんので、その平日にアーティストのライブなどを入れることで、稼働率を高めることができ、収入源として見込めるようになります。
大規模アリーナを導入するデメリット・リスク
大規模アリーナの導入はメリットもありますが、デメリットやリスクももちろん存在しています。
- 会場の空席率が目立つようになる
- ランニングコスト、運営費がかかる
- 立地がよくなければアーティストのライブなどを開催しにくい
こちらも、僕の見解を踏まえて説明していきます。
会場の空席率が目立つようになる
大規模アリーナが、収容人数何人の規模になるかはわかりませんが、NBAの場合には1アリーナ当たり平均して19,044人が収容できるようになっています。
3年目のシーズンを終えたBリーグは、1アリーナ当たりの平均収容人数が4,460人ほど(独自調べ)ですので、もし仮にNBAと同規模のアリーナを建設するとなると、収容人数が一気に増えるため会場の空席率が目立つようになるでしょう。
3年目のシーズンで最多観客動員数を誇った千葉ジェッツが、現在10,000人規模のアリーナの建設を考えていると書かれたニュースを以前目にしました。
千葉ジェッツのホームアリーナである船橋アリーナは、収容人数が4,400人ほど(独自調べ)ですので、収容人数が倍増することになります。シーズン中は満席が続いていたと言うことですが、10,000人規模ともなると未知のチャレンジと言えるのではないでしょうか。
また、空席率が高くなると、会場の熱気や雰囲気にも影響をしてきますので「小さな会場の方がよかった」と言う声も出てくるようになるかもしれません。
ランニングコスト、運営費がかかる
自分たちが所有するアリーナになると、スタッフの人件費などのランニングコストのほか、アリーナの運営費がかかってきます。そのため、しっかりとマネタイズをしてお金を生み出さなければ赤字になることもあるでしょう。
基本的な考え方として、アリーナで必要になる資金はアリーナで稼ぎ出すべきですので、前述したアーティストのライブなどお金を稼ぐすべも考えなければなりません。
立地がよくなければアーティストのライブなどを開催しにくい
「アリーナ」を使ってしっかりとお金を稼ぐためには、アーティストのライブやイベントの開催も必要不可欠になりますが、立地がよくなければライブやイベントが開催しにくくなるでしょう。
現在主に使用されるライブ会場として挙げられる以下の施設は、主要駅や都市部からも近く、アクセスがしやすいと言う大きな強みを持っています。
- 札幌ドーム
- 東京ドーム
- 明治神宮球場
- さいたまスーパーアリーナ
- ナゴヤドーム
- 京セラドーム
etc……..
現在はアリーナを建設する「土地」すらも限られてきていて、主要駅や都市部に近いエリアは土地がなかったり、既に他の大規模施設が建設されている場合があります。
「立地」による集客力の差は必ず出てきますので、ライブなどのイベントを開催する場合には、立地が重要になってきます。
結論:現状のリソースを最大限に活用するしかない
ここまで僕なりの見解でアリーナ構想について触れてきました。Bリーグの事務局長である葦原さんのツイートによると「なぜFINALが1試合だけなのか」や「なぜ3地区制を導入しているか」が問い合わせとして寄せられているようですが、僕の考えとしては、今は「現状のリソースを最大限に活用するしかない」と思っています。
葦原さんのツイートでは「国際スケジュールの調整」や「コンテンツバリューの向上」について触れられていましたが、これらを達成するためには現状あるリソースを最大限に活用するしかないんです。
「コンテンツバリューの向上」であれば、大規模アリーナがないからこそ、今の規模のアリーナでさらに価値を感じてもらうためにはどうすればいいのか、「また来たい」と思ってもらうためにはどんな施策を打つべきなのかを考えていくべきなんです。
現状のリソースをフルに活用することを念頭に置いておくと、クリエイティブな発想が思いつくことがありますし、様々な”アイデア”が思いついてくるものです。
まとめ
僕は、「大規模アリーナ」が多くの現状の課題を解決するものと考えています。よくTwitterで目にするような「試合数の増加」や「プレイオフのレギュレーション改善」は、大規模アリーナによって解決できるでしょう。
ただ、大規模アリーナを用意すれば全ての課題が解決されるとは思わないですし、また新たな課題が生まれるでしょう。
僕自身は自分の考え方を発信していく程度しかできませんが、今後もBリーグの動向には注目していきたいと思っています。