NBAのレギュラーシーズン・プレイオフが終わると、オフシーズンとなりますが、実はこのオフシーズンもNBAは十分に楽しむことができる時期ですよね。
僕自身はオフシーズンの移籍市場の動向を見ているのが非常に好きなのですが、移籍市場を眺めているときに「マックス契約」という言葉を耳にします。
実際のところ、何を持って「マックス」と言っているのかわからなかったのですが、僕と同じようにどんな意味を持つのか知らない人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、全くNBAの契約に関するルールを知らない人でもわかりやすいように、「マックス契約」について紹介していきます。僕も勉強しながら書いていきましたので、わかりやすい内容になっていますよ!
目次
NBAの「マックス契約」とは?
マックス契約(マキシマム契約)は、リーグが決めた上限での契約のことを指します。ただ、「このシーズンにマックス契約を結ぶプレイヤーの上限はこの年俸ね」と、毎年年俸の上限が決まっているわけではありません。
基本的に当該シーズンのサラリーキャップに基づいて、マックス契約の年俸が決定されます。後ほど詳しく紹介しますが、チームに1人特定選手として契約を結ぶプレイヤーはサラリーキャップの25%の年俸がマックスとなります。
例えば18-19シーズンのサラリーキャップは$101,869,000となっているので、この年の年俸のマックス金額は$25,467,250となるのです。
ただこれはあくまでも例ですので、在籍年数や条件を満たしているかどうかによってマックス契約の年俸額は変動します。
在籍年数によって異なるマックス契約時の年俸
マックス契約を結ぶ場合の年俸は、在籍年数によって大きく異なります。
- ~6年目:サラリーキャップ×25%
- 7~9年目:サラリーキャップ×30%
- 10年目以降:サラリーキャップ×35%
前章にて紹介した「18-19シーズンのサラリーキャップは$101,869,000」この数字を用いて、もう少し掘り下げていきましょう。18-19シーズンが、6年目のプレイヤー、9年目のプレイヤー、10年目のプレイヤーの3タイプに分けてマックス契約時の年俸がどのように変化するか紹介しますね。
- 6年目:$25,467,250(サラリーキャップ×25%)
- 9年目:$30,560,700(サラリーキャップ×30%)
- 10年目:$35,654,150(サラリーキャップ×35%)
在籍年数が多いプレイヤーほど、マックス契約の場合には年俸が高くなる傾向にあるというわけです。しかも、サラリーキャップは年々増加していきますので、契約を結ぶシーズンによってもマックス契約の年俸は高くなっていきます。
特定選手(デシグネイテッド・プレイヤー)とは?
前章にて、NBAの在籍年数によってマックス契約の年俸が変動すると紹介しました。例えばNBAにまだ6年しか在籍していない場合には、マックス契約を結ぶ時にはサラリーキャップ×25%となるとわかりましたよね。
ただ、場合によってはNBA在籍6年以下のプレイヤーでもサラリーキャップ×30%の契約を結ぶことが可能です。
その時に関係してくるのが特定選手(デシグネイテッド・プレイヤー)です。
特定選手は基本的に各チーム1人しか保有できないことになっていて、この特定選手の中で一定の条件を満たしたプレイヤーが、NBA在籍6年以下のプレイヤーでもサラリーキャップ×30%のマックス契約を締結することができます。
「サラリーキャップ×30%のマックス契約」の条件を満たすためには「デリック・ローズ・ルール」の条件に当てはまる必要があるのですが、次の章ではデリック・ローズ・ルールについて解説していきます。
デリック・ローズ・ルール
前章にて特定選手も条件付きでサラリーキャップの30%分の契約を5年間締結できると紹介しましたが、そのための条件とは何でしょうか。
- NBAオールスターゲームスターター:2回
- オールNBAチーム(1st~3rdどれでもOK):2回
- シーズンMVP:1回
上記の3つが条件となっています。なお、全てを満たす必要があるわけではなく、どれかの項目を満たしていれば「デリック・ローズ・ルール」の適用対象となります。
「デリック・ローズ・ルール」の適用対象となると、NBA在籍6年目以下のプレイヤーであっても5年間のサラリーキャップ×30%のマックス契約を締結することが可能となります。
デリック・ローズ・ルールの適用でマックス契約を締結した例
今までにデリック・ローズ・ルールがで起用されたことのあるプレイヤーを2名紹介します。
デリック・ローズ
まずはルールの名前にもなっているデリック・ローズです。
2008年のドラフト1巡目1位でシカゴ・ブルズに指名されたローズは、3年目のシーズンとなる10-11シーズンのMVPを獲得し、このルールの適用対象となりました。
ポール・ジョージ
2人目はポール・ジョージです。
2010年のドラフト1巡目10位でインディアナ・ペイサーズに指名されたジョージは、2年目と3年目のシーズンにオールNBAチーム入りを果たしたため、このルールの適用対象となりました。
ケビン・デュラント・ルール
ここからは「ケビン・デュラント・ルール」というルールを紹介します。
このルールは2017年のCBA(NBA団体交渉協約)で決められたルールでして、かなり最近に作られたものです。どういうものかというと、ベテランのプレイヤーに対しても特定選手契約を結ぶことができるようになった、というものです。
ベテランのスタープレイヤーが、フリーエージェントになってから所属していたチームを離れてしまうという事態を、防ぐことを目的として制定されました。このルールの適用条件は以下の通りです。
- 2シーズン続けてオールNBAチーム(1st~3rdどれでもOK)に選出されるor前3シーズンのうち2シーズンで選ばれる
- 2シーズン続けて最優秀守備選手賞に選出されるor前3シーズンのうち2シーズンで選ばれる
- 前3シーズンでシーズンMVPに選出される
チームがドラフト指名でルーキー契約を結んだプレイヤーか、ルーキー契約時にトレードで獲得したプレイヤーに限る
上記3つの項目のうちいずれかを満たしていると、「ケビン・デュラント・ルール」の適用対象となります。
なお、このルールの適用対象となるとサラリーキャップの30%~35%で契約を交わすことが可能になります。「ケビン・デュラント・ルール」の適用対象となり、そのルールに則って契約を締結した場合には、そのプレイヤーは1年間トレードすることができません。
ケビン・デュラント・ルールの適用でマックス契約を締結した例
前章で説明してきた「ケビン・デュラント・ルール」が適用され、マックス契約を締結したプレイヤーを紹介します。
ステファン・カリー
まず1人目はステファン・カリーです。
カリーは2009年のドラフト1巡目7位でゴールデンステイト・ウォリアーズに指名され、18-19シーズンで10シーズン目となります。
カリーは14-15シーズンと15-16シーズンにシーズンMVPを獲得しているため、適用対象となり2017年のオフシーズンにDVPE契約を結ぶこととなりました。
ジェームズ・ハーデン
2人目はジェームズ・ハーデンです。
ハーデンは2009年のドラフト1巡目3位でオクラホマシティ・サンダーに指名され、18-19シーズンで10シーズン目となります。
ハーデンはオクラホマシティ・サンダーに指名されていますが、ルーキー契約下にあった2012年夏にヒューストン・ロケッツに放出されました。
14-15シーズンと16-17シーズンでオールNBA1stチームに選出されたことで、適用対象となり2017年のオフシーズンにDVPE契約を結ぶこととなりました。
ラッセル・ウエストブルック
3人目はラッセル・ウエストブルックです。
ウエストブルックは2008年ドラフト1巡目4位でオクラホマシティ・サンダーに指名され、18-19シーズンで11シーズン目となります。
ウエストブルックは、16-17シーズンのシーズンMVPを獲得し適用対象となり、2017年のオフシーズンにDVPE契約を結ぶこととなりました。
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まとめ
移籍市場が始まると「マックス契約」と言う言葉を耳にする機会も増えてきますよね。7月にはFA市場も解禁となり、NBAファンにとってはレギュラーシーズンとはまた違った楽しみ方ができる時期となります。
今まではなんとなく「マックス契約」と言う言葉を聞いていたかもしれませんが、ここまで読んできているあなたは完璧にマックス契約について学ぶことができました。
今回学んだ内容を忘れることなく、今後のNBA移籍市場を楽しんでもらえたらと思います。