今回は、NBAの契約のルールである「ルーキー契約」について紹介していきます。僕自身この記事を書きながらルーキー契約について勉強をしたので、全然知らないという人でもしっかりとルーキー契約についての知識を得られるはずです。
一緒にルーキー契約について、学んでいきましょう!
目次
- 1 ルーキー契約はNBAドラフトにかけられたプレイヤーに関係する
- 2 ドラフトにかけられなかった場合には2Way契約などを結ぶ
- 3 NBAドラフト1巡目の30名のルーキー契約
- 4 【6月21日追記】八村塁は1巡目9位指名で….年俸最大5億円?!
- 5 NBAドラフト2巡目の30名のルーキー契約
- 6 上位指名のプレイヤーほどルーキー契約時のスケールサラリーが高くなる
- 7 チーム側からすると2巡目上位で指名できる方がリスクが少ない
- 8 契約最終年終了後の制限付きFA・完全FAの制度
- 9 ルーキー契約の後の延長契約
- 10 ルーキー契約が残っている意外なプレイヤー
- 11 なんで先に入ったプレイヤーよりもルーキーの方が年俸が高いの?
- 12 現在のNBAはルーキー契約のプレイヤーを育成するのが主流
- 13 NBA・八村塁を観るならNBA Rakutenで決まり!
- 14 まとめ
ルーキー契約はNBAドラフトにかけられたプレイヤーに関係する
ルーキー契約というのは、その名の通りルーキー=1年目のプレイヤーと結ぶ契約のことを指します。「ルーキー契約」を結ぶのは1年目の時ですが、2~4年の契約を結ぶことになるため、4年目のプレイヤーでも「ルーキー契約」という話し方をする場合があります。
こちらは、毎年6月に開催されるNBAドラフトにおいて、1巡目1位から2巡目60位までのプレイヤーに関係してくる契約形態であると覚えてください。
ドラフトにかけられなかった場合には2Way契約などを結ぶ
ドラフトにかけられなかったプレイヤーは、Gリーグへ所属したり2Way契約でNBAのトップチームとGリーグのチームに所属する場合があります。
2018-19シーズンの渡邊雄太選手は、18-19シーズンがルーキーイヤーですが、NBAドラフトにはかけられませんでした。その後メンフィス・グリズリーズと2Way契約を結んでいます。
ルーキーであっても、ドラフトにかけられた場合に関係してくるのが「ルーキー契約」で、ドラフトにかけられなかった場合には2Way契約などを経て、NBAデビューを果たすことになります。
NBAドラフト1巡目の30名のルーキー契約
NBAドラフトにおいて、1巡目1位~30位までに指名されると、順位に応じて設定されたベースとなるサラリーをもとに、ルーキー契約を結ぶことになります。
例えば1位のプレイヤーの1年目のベースサラリーが680万ドルだった場合には、2位のプレイヤーは630万ドルになる、といった具合です。
1巡目で指名されると、1~3年目の契約はベースサラリーの80%~120%のサラリーにて契約を結ぶことができ、4年目に関しては「3年目のサラリー×一定の割合」の年俸となります。
ダラス・マーベリックスに所属するルカ・ドンチッチは2018年ドラフト1巡目3位で指名されています。2018-19シーズンに3位指名されたプレイヤーのルーキースケールサラリーは、
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|
$5,467,200 | $6,402,800 | $6,707,800 | 3年目の年俸+26.4% |
上記の通りとなっており、1~3年目に関してはこのルーキースケールサラリーの80%~120%にて契約することが可能です。
実際にドンチッチの契約は下記の通りとなっております。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|
$6,560,640(120%) | $7,683,360(120%) | $8,049,360(120%) | $10,174,391(3年目のサラリー+26.4%) |
ルーキースケールサラリーを基準として、1~3年目は120%のサラリーとなり、4年目は「3年目の年俸+3年目の年俸の26.4%」によって年俸が決定されています。
また、ドラフト指名したプレイヤーと契約ができるようにするために、契約後はチームに所属するプレイヤーのサラリーキャップが上限を越えることがOKとされています。
1巡目に指名されたプレイヤーは、基本的に4年間の契約を結ぶこととなり、最初の2年間は全額完全保証となり、最後の2年間はチームオプションとなります。
契約の2年目と3年目の10月31日までに、3年目と4年目のチームオプションが行使されなかった場合には、翌年夏にFAとなります。
【6月21日追記】八村塁は1巡目9位指名で….年俸最大5億円?!
6月21日(現地時間6月20日)に開催されたNBAドラフトで、1巡目9位で指名された八村塁選手。この記事で紹介しているルーキースケールサラリーに則って、年俸を計算してみました。
まず、2019年の9位指名のプレイヤーのルーキースケールサラリーは以下の通りとなっています。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|
$3,719,500 | $3,905,600 | $4,091,600 | $4,091,600+27.4% |
契約を結ぶ際には、ルーキースケールサラリーによって決められた金額の、80~120%で契約を結ぶことになるため、1年目の年俸は$2,975,600~$4,463,400となります。
この金額を日本円に換算すると3億2千万円~約5億円($1=110円計算)となります。
NBAドラフト2巡目の30名のルーキー契約
NBAドラフトで1巡目には指名されなかったものの、2巡目に指名された30人のルーキーは、基本的には最低額での契約が2年間無保証で結ばれます。
ただ、プレイヤーによって契約金額はかなりまちまちになってくるため、必ずしも最低額の契約というわけではありません。
また、契約年数に関してもよほど有望なプレイヤーでない限りは、2巡目に指名されたプレイヤーは最低額の契約を1~2年結ぶことになります。
上位指名のプレイヤーほどルーキー契約時のスケールサラリーが高くなる
これまでの内容を読んでいるあなたはしっかりと理解しているものと思いますが、基本的にドラフト時の指名順位が高いプレイヤーほど、ルーキースケールサラリーは高くなります。
2018-19シーズンの1年目のルーキースケールサラリーは、1位指名の場合には$6,804,300で、30位の場合には$1,350,400となっており、大きな差があることがよくわかりますね。
ちなみにですが、2巡目指名のプレイヤーにはルーキースケールサラリーが設定されていません。契約を結ぶ場合には、基本的に最低額での契約となります。
そして、1巡目指名のプレイヤーとは違い2巡目指名の場合には、チーム側にそのプレイヤーとの交渉権があるだけで、契約が約束されたわけではないのです。
チーム側からすると2巡目上位で指名できる方がリスクが少ない
実はこのルーキー契約には「1巡目下位の指名権よりも、2巡目上位の指名権の方がいい」とも言える、あるルールが存在します。
それは、2巡目のプレイヤーには契約が保証されない、という点です。どういうことかというと、1巡目のプレイヤーは4年間の契約を結ぶと最初の2年間は完全保証となるのですが、2巡目のプレイヤーは完全保証がなく無保証での契約になるため、チーム側からすると解雇してもリスクがないんです。
要は、2巡目の上位で指名してプレイヤーと契約を結んで、プレイさせてみたらあまりフィットしないなぁと感じた場合には、解雇することができるというわけです。しかも「無保証」なのでチーム側は年俸を払う必要がありません。
基本的に解雇=ウェイブをすると、チーム側は年俸を全額満額で支払わなければなりません。2巡目指名のルーキーの場合には、解雇をしても年俸を払う必要がないんです。
しかし、1巡目で指名してしまうと完全保証の契約を結ばなければいけなくなるため、1巡目で指名したプレイヤーが仮にチームに合わなかった場合には、チーム側はリスクにもなるというわけです。「完全保証」なので年俸も支払わなければなりませんからね。
「1巡目指名されたプレイヤーは完全保証の契約が結べる」わけですが、言い方を変えると「チーム側は1巡目指名のプレイヤーとは完全保証の契約を結ばなければならない」ということになります。
ですので、「1巡目下位の指名権よりも、2巡目上位の指名権の方がリスクが少ない」という考え方もできますね。
契約最終年終了後の制限付きFA・完全FAの制度
ルーキー契約を結んだプレイヤーは、基本的に4年間のうち最後2年間はチームオプションとなります。
チームオプションが行使されず4年間の契約が終わると、プレイヤーは制限なしの完全FAとなります。
一方最終年となる4年目シーズン終了後に、チーム側に契約の意思があった場合には「クオリファイングオファー」というものを提示し、プレイヤーは契約するか制限付きFAになるかを選択することができます。
ルーキー契約の後の延長契約
ルーキー契約下にあるプレイヤーは、4年目のシーズンが始まる前のモラトリアム期間(支払い猶予期間)後~シーズン開幕の前日までに、延長契約を結ぶことが可能です。
- 4年間の延長契約:マックス契約+昇給率8%の契約を結ぶことができる。
- 5年間の延長契約:延長契約1年目のサラリーを、サラリーキャップの25~30%にすることが条件ではあるものの、指定したプレイヤーと契約を結ぶことができる。
このような延長契約を結ぶことが可能となっており、もしモラトリアム期間(支払い猶予期間)後~シーズン開幕の前日までに延長契約を結ばなかった場合でも、契約は可能です。
ただ、延長契約を結ばなかったそのプレイヤーを保持しておきたい場合には、クオリファイングオファーを提示しなければなりません。
クオリファイングオファーの割合などもあらかじめ決められており、先ほど紹介したルカ・ドンチッチにクオリファイングオファーを提示する場合には、4年目の年俸+31.2%となる$13,348,801のオファーをしなければなりません。
ルーキー契約が残っている意外なプレイヤー
ここまで「ルーキー契約」についての紹介をしてきましたが、2018-19シーズンのNBAで活躍をしているスタープレイヤーの中には、未だににルーキー契約が継続されているプレイヤーが存在します。
僕自身が驚いたルーキー契約の残っているプレイヤーが、こちらの4人です。
- デビン・ブッカー
- ベン・シモンズ
- クリスタプス・ポルジンギス
- カール・アンソニー・タウンズ
デビン・ブッカー
デビン・ブッカーは、サンズのエースとして入団時からチームを引っ張る存在です。16-17シーズン(2年目)には1試合で70点を稼いだ経験もあり、リーグを代表する点取り屋として知られています。
ブッカーは2015年のドラフト1巡目13位で指名されたプレイヤーで、18-19シーズンがルーキー契約の最終年となります。ちなみに2018年7月に5年間のマックス契約を締結しており、19-20シーズンには$27,250,000の年俸を受け取ります。
18-19シーズンが$3,314,365となっていますので、一気に8倍近く年俸がアップするのです。2019年W杯や2020年東京オリンピックのアメリカ代表候補35名にも入っており、今後ますますの活躍が期待されるプレイヤーです。
ベン・シモンズ
ベン・シモンズは、2016年のドラフト1巡目1位で76ersから指名をされました。16-17シーズンは怪我のため全休でしたので、実質17-18シーズンがルーキーイヤーとなっていますが、リーグ在籍3年目のプレイヤーです。
17-18シーズンには新人王を獲得し、ルーキーイヤーとしては史上2番目の多さとなる8回のトリプルダブルも記録しており、76ersには欠かせない超大型のポイントガードです。
シモンズの18-19シーズンの年俸は$6,434,520となっており、新規の延長契約は結んでいません。おそらく19-20シーズンも76ersでプレイするものと思われますので、19年の夏には大型の延長契約を結ぶことになるでしょう。
クリスタプス・ポルジンギス
クリスタプス・ポルジンギスは、2015年1巡目4位でニックスに指名されました。2018年2月に左膝の前十字靭帯を断裂してからは、試合に出場しておらず18-19シーズン中の復帰もありません。
なお、18-19シーズン途中にマーベリックスへとトレードされています。
このポルジンギスは、18-19シーズンの年俸が$5,697,054となっており、新規の延長契約は結んでいません。18-19シーズンが4年目のシーズンとなりますので、ルーキー契約の切れるシーズン終了後に新契約を締結するものと思われます。
カール・アンソニー・タウンズ
カール・アンソニー・タウンズは、2015年1巡目1位でティンバーウルブズに指名されました。3Pも打てる現代センターの象徴で、NBA4年目にして2度NBAオールスターに選出されています。
そんなタウンズの18-19シーズンの年俸は$7,839,435ですが、2018年9月に5年間の延長契約を結びました。その結果19-20シーズンには$27,250,000もの年俸を受け取ることになっています。
なんで先に入ったプレイヤーよりもルーキーの方が年俸が高いの?
NBAの選手名鑑などを見ていると、同じくらいの年齢でありながら、先にNBAに入ったプレイヤーよりも遅れてNBAに入ったプレイヤーの方が年俸が高くなる場合があります。
例えば、17-18シーズンのレイカーズに在籍していたジュリアス・ランドルは、17-18シーズンの年俸が$4,149,242となっています。ちなみに、この年はルーキー契約最後の年でした。
そして17-18シーズンにNBA入りを果たしたロンゾ・ボールは、17-18シーズンの年俸が$6,286,560となっており、ランドルよりも高いことがわかりますね。
なぜ先にNBA入りしたランドルよりも、後に入ったボールの方が年俸が高いかと言うと、それは指名順位とルーキースケールサラリーが関係しています。
2014-15シーズンのドラフトで指名されたルーキーのスケールサラリー(1位指名の場合)
- 1年目:$4,592,200
- 2年目:$4,798,900
- 3年目:$5,005,500
- 4年目:3年目の年俸+3年目の年俸×26.1%
2017-18シーズンのドラフトで指名されたルーキーのスケールサラリー(1位指名の場合)
- 1年目:$5,855,250
- 2年目:$6,949,900
- 3年目:$8,121,000
- 4年目:3年目の年俸+3年目の年俸×26.1%
同じ1位指名の順位だけで見ても、ルーキースケールサラリーには大きな違いがあることがわかりますね。それに加えて、ランドルは7位指名なのに対しボールは2位指名でしたので、このように年俸に差が生まれているわけです。
毎年サラリーキャップが増加していることも、ルーキー契約のスケールサラリーが毎年増加している1つの理由であると考えられます。
現在のNBAはルーキー契約のプレイヤーを育成するのが主流
現在のNBAは、いわゆるスーパースターの年俸が高騰しているので、各チームのサラリーキャップがかなり圧迫されています。例えば、ウォリアーズの18-19シーズンのサラリートップ5は以下の通りです。

5人だけで、実に$119,915,444ものサラリーが必要となっているのです。こうなると、サラリーキャップをかなり圧迫してしまいます。
ウォリアーズはかなり極端ではありますが、現在のNBAは多くのチームがスタープレイヤーに巨額の年俸を支払うことでサラリーキャップの枠が圧迫されてしまうため、年俸の安いルーキー契約のプレイヤーの育成やミニマム契約のプレイヤーを獲得するのが主流となっています。
スタープレイヤー1人~2人と、年俸が安い複数人のプレイヤーを周りに固めるチームが多くなっているわけです。
ルーキー契約は1巡目のプレイヤーの場合には4年契約となっていますが、最後の2年間はチームオプションとなるため、3年目が始まる前までにはある程度の戦力になるように、育成することが必要なんですね。
戦力にならないと判断すればオプションを行使してFAにするか、はたまたもう1年の成長に賭けるか、などフロント側の見切り・観察眼が試されます。
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まとめ
さて今回は、NBAのルーキー契約について紹介をしてきました。今回の内容をざっくりと簡単にまとめると、以下の通りとなります。
- ドラフト1巡目指名のプレイヤーは、完全保証の2年+チームオプションの2年、計4年の契約が可能。
- ドラフト2巡目指名のプレイヤーは、無保証の契約となる。(基本的には最低額での2年契約が多い。)
- ドラフト1巡目指名のプレイヤーは、決められたルーキースケールサラリーに則って、向こう4年間のサラリーが決められる。
- 4年目シーズンの、モラトリアム期間終了後~シーズン開幕日前日までに延長契約の締結が可能。
- 延長契約が結ばれなかったプレイヤーは、シーズン終了後に完全FAになるか、クオリファイングオファーを受けて1年間残留するか、制限付きFAになる。
ClutchTimeでは、FAなどのNBAの契約に関する内容も紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。一緒に契約に関するルールを覚えていきましょう!