今回はNBAの契約時のルールでもある「FA制度」について紹介していきます。NBAのオフシーズンの移籍市場を見ていると、「完全FA」や「制限付きFA」という言葉を目にするのではないでしょうか?
「正直なところあまり良く知らない」という人も多いと思いましたので、今回はまとめてみました。
なお、僕自身も勉強しながら書いた内容ですので、初心者にとってもわかりやすい内容となっていますよ。
そもそも、よく聞く「FA」はなんの略?
まずはじめに、そもそも「FA」が何かを説明しておきましょう。FAは「Free Agent(フリーエージェント)」の英単語の頭文字を取って作られた言葉で、簡単に言うとどのチームとも契約できる権利を持つ状態のことです。
スポーツ業界ではNBAだけではなく、MLBでも日本のプロ野球でも「FA」と言う言葉が用いられています。
NBAのFAには2つの種類がある
NBAのFA制度には、2つの種類があります。NBA独自のルールなので、覚えておきましょう。
- 完全FA
- 制限付きFA
上記表示の通り、「完全FA」と「制限付きFA」と言う2つの種類が存在します。もう少し詳しく両者の内容を見ていきましょう。
NBAの契約の制度「完全FA」とは?
完全FAは、別名「UFA(Unrestricted Free Agent)」とも呼ばれている、所属していたチームの制限が何もないFA状態のことを言います。
どのチームとも自由に契約を交わすことができるのですが、NBAの在籍年数や個人タイトルなどの獲得によって上限が決められています。
上限いっぱいで契約することを、一般的には「マックス契約を結ぶ」とも言うので、覚えておくといいですね。
NBAの契約の制度「制限付きFA」とは?
制限付きFAは、別名「RFA(Restricted Free Agent)」とも呼ばれている、所属していたチームの制限があるFA状態のことを言います。
基本的に制限付きFAとなるのは2パターンに別れています。
- ドラフト1巡目指名のプレイヤーが、チームオプションを破棄せずに4年目が終了し、延長契約を結んではいないもののチームに契約の意思があり、チームがクオリファイングオファーを提示した場合
- NBA在籍年数3年以下のプレイヤーに対して、チームがクオリファイングオファーを提示した場合
基本的には、クオリファイングオファーをした場合に、制限付きFAになると覚えておいてください。
クオリファイングオファーは取り下げることもできます。クオリファイングオファーが取り下げられたプレイヤーは、完全FAとなります。
制限付きFAになったプレイヤーはどのチームからのオファーも受けられる
クオリファイングオファーを提示され制限付きFAとなったプレイヤーは、どんなチームとも契約交渉が行える状態にあります。
プレイヤー側が「このオファーはいいな」と思った場合に、他チームからのオファーを受けることも可能です。ただ、この場合には最低2年間の完全保証が必要となります。
また、クオリファイングオファーを提示されたプレイヤーは、他のチームからオファーシートが届かない場合、クオリファイングオファー額で契約すると、1年間チームに残留することになり、来夏に完全FAとなります。
なお、クオリファイングオファー額での契約でなくても、チーム側から新規のオファーがあれば新規のオファーにて契約をすることも可能です。
前所属チームが制限付きFAのプレイヤーを保持するためには
他のチームからの契約を受けることは可能ですが、仮に他のチームからのオファーが届いた時に所属していたチームが同じ条件のオファーを提示すると、そのプレイヤーは所属していたチームが保持できるようになります。いわゆる、残留という形ですね。

例えば1年$3,000,000のオファーシートを提示してきた場合には、プレイヤーの前所属チームが1年$3,000,000の契約形態を用意する=オファーシートにマッチすることで、プレイヤーを残留させることが可能です。
なお、この「オファーシートにマッチする」ことができるのは、オファーシートが提示されてから3日以内となっており、それ以降はマッチすることができません。
オファーシートにマッチしなかった場合には権利を放棄した形となり、オファーシートを提示したチームと契約することになります。
制限付きFAになると、チームは柔軟な対応ができるようになる
前章にて「オファーシートにマッチすると残留させられる」という旨を書きましたが、裏を返すともともと在籍していたチームは他チームからのオファーシートにマッチさせなくてもいいんです。
そもそも、「絶対にこのプレイヤーは手放したくない!」のであれば、クオリファイングオファーを提示する前に複数年契約を結ぶこともできます。詳しい内容は以下の「ルーキー契約」に関する記事内で紹介しています。
クオリファイングオファーを提示するとこんな選択をできるようになります。
- 他チームからのオファーがない→残留
- 他チームからのオファーがある→残留・放出
ごくごく簡単にまとめましたが、要は残留にも放出にも柔軟な対応ができるというわけです。
次の章で紹介しますが、ロドニー・フッドのように「できれば残留させられるように対策もしておきたいな」と思ったら、クオリファイングオファーを提示すればいいのです。
クオリファイングオファーを受け制限付きFAになったプレイヤーの例
実際にクオリファイングオファーを受け、制限付きFAになったプレイヤーの例を紹介しましょう。
ロドニー・フッド

出典:https://www.sportingnews.com/jp/nba/news/rodney-hood-signs-one-year-qualifying-offer-to-return-to-cleveland-cavaliers/nngfaize210l1vf1yrfhfmn3ymig
18-19シーズン序盤にクリーブランド・キャバリアーズに所属していたロドニー・フッドは、17-18シーズン終了後にクオリファイングオファーを提示されたため、制限付きFAとなっていました。
彼がクオリファイングオファーを提示されたタイミングは、未だレブロン・ジェームズの去就が決まっておらず、仮にレブロンがチームに残留した場合にはフッドを放出、レブロンが移籍した場合にはフッドを残留させられると言う形にしていたんです。
結果的にレブロンはレイカーズに移籍したため、キャバリアーズはフッドを残留させることにしました。クオリファイングオファーを提示したことで、どのチームのオファーが来てもオファーシートにマッチさせられたため、放出・残留を自由にできるようにしていたんですね。
ザック・ラビーン

出典:https://basket-count.com/article/detail/3354
18-19シーズンをシカゴ・ブルズで過ごしたザック・ラビーンもまた、クオリファイングオファーを提示され制限付きFAとなっていました。
ラビーンは2018年の夏にブルズからクオリファイングオファーを提示され、制限付きFAとなりどのチームとも契約交渉が交わせる状態となっていました。
サクラメント・キングスからオファーを受けましたが、ブルズ側がキングスからのオファーシートにマッチしたため、ラビーンはブルズへの残留が決定しています。
2019年の夏に完全FAになるNBAプレイヤー
ここからは、2019年の夏に完全FAになる、注目のNBAプレイヤーを紹介していきます。2019年の移籍市場をホットなものにしてくれる大物がたくさんいるんですよ。
- ケンバ・ウォーカー
- ニコラ・ブーチェビッチ
- クレイ・トンプソン
- デマーカス・カズンズ
- リッキー・ルビオ
- デリック・ローズ
- アイザイア・トーマス
- トバイアス・ハリス
- デアンドレ・ジョーダン
上記のプレイヤーが、完全FAとして移籍市場において人気銘柄になることが予想されます。
また、2019-20シーズンの契約がプレイヤーオプションになっているプレイヤーも紹介しておきます。
- カワイ・レナード
- ケビン・デュラント
- ジュリアス・ランドル
- ジミー・バトラー
- ハリソン・バーンズ
- マーク・ガソル
- アル・ホーフォード
- カイリー・アービング
- ゴラン・ドラギッチ
- クリス・ミドルトン
この中でも、特にレナードやデュラント、アービングなどは2019年の夏に移籍する可能性が高いと噂されており、プレイヤーオプションを行使して移籍市場に現れる可能性もあるでしょう。
2019年の夏に制限付きFAになるNBAプレイヤー
完全FAになるプレイヤーだけではなく、制限付きFAになる注目のプレイヤーも一部紹介していきます。
- クリスタプス・ポルジンギス
- ディアンジェロ・ラッセル
- テリー・ロジアー
- ケリー・ウーブレイ・Jr
- ロンデイ・ホリス・ジェファーソン
- ボビー・ポーティス
- ウィリー・コーリー・ステイン
制限付きFAとなるプレイヤー達が、クオリファイングオファーを提示されるのかなどにも注目してみてください。
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まとめ
今回はFAに関する内容を紹介してきました。全体の内容を簡単にまとめてみましょう。
- NBAのFA制度は「完全FA(UFA)」と「制限付きFA(RFA)」がある。
- 完全FAの場合にはどのチームとも契約を結ぶことができる。
- 前所属チームがクオリファイングオファーを提示することで制限付きFAになる。
- 制限付きFAになるとどのチームからもオファーを受けられるが、前所属チームがオファーシートにマッチすると、プレイヤーは残留
FAに関する内容を網羅的に紹介してきました。また、FA時の契約に関係してくる「マックス契約」や「ミニマム契約」については、別の記事で紹介しますので、そちらも併せてご覧ください。