毎年4月中旬から6月中旬まで、約2ヶ月かけて行われるNBAプレイオフ。
プレイイントーナメントという制度があったり、順位決定方法にもルールがあったりで、ちょっとだけ複雑なんですよね。
でもこの複雑なルールを覚えていると、レギュラーシーズン最終盤やプレイオフを存分に楽しむことができるようになります!
ということで本記事では、プレイオフのルールや特徴、勝率が同じだった場合の順位決定方法について紹介していきます。
最後まで読んで、しっかりとNBAプレイオフの概要を学んでいきましょう!!
目次
NBAプレイオフとは?
NBAプレイオフとは、毎年4月~6月にかけて行われる、年間チャンピオンを決定する「ポストシーズン」のことを指しています。
一般的に「ポストシーズン」とは呼ばれず、「プレイオフ」と言われています。
イースト、ウェストの東西カンファレンスから8チームずつ、全16チームが年間チャンピオンを争うために、激しい試合を展開するのがプレイオフの醍醐味です。
対戦カードについては、以下の画像をご覧ください。数字の①~⑧がカンファレンスの順位を表しています。
基本的な対戦カードは第1シードvs第8シード、第2シードvs第7シードのように、上位4つのシードが下位4つのシードのチームと1回戦を戦うというフォーマットとなっています。
NBAプレイオフに進出するための条件
NBAプレイオフには、NBAに所属している全30チームの中でも、16チームしか参加することができません。
このプレイオフに進出するためには、レギュラーシーズン終了直後に開催されるプレイイントーナメントで「各カンファレンス8位」に入っている必要があります。
少し前までは「レギュラーシーズンの成績上位8位」が自動的にプレイオフに進出していました。
それが20-21シーズンからは「レギュラーシーズンの成績上位6位」+「プレイイントーナメントを勝ち抜いた2チーム」の計8チームとなりました。
▼ プレイイントーナメントの細かいルールについてはこちらの記事でまとめています ▼
>>【23-24シーズン版】プレイイントーナメントの概要や順位決定方法について
15-16シーズンまではディビジョン1位のチームは上位シードを獲得していた
2015-16シーズンまでは、各ディビジョンの1位のチームはプレイオフの上位シードを獲得していました。
NBAは全30チームが、15チームずつイーストorウェストのカンファレンスに別れており、さらに5チームずつのディビジョンという細かな区分があります。
イースタンカンファレンス、ウェスタンカンファレンスには、それぞれ3つずつディビジョンがあり、その3つのディビジョンで最高成績(地区優勝)を収めたチームは、カンファレンス全体の順位に関係なく、プレイオフの際に第1シード〜第3シードが保証されていたんです。
ただ、ディビジョンで優勝したチームに第1〜第3シードを与えると、実は勝利数・勝率と順位の逆転が起きてしまうんです。どういうことか、見ていきましょう。
2006年の例
2006年のプレイオフで注目を集めたのはウェスタンカンファレンスです。まずは勝利数を元にしたレギュラーシーズンの順位表をご覧ください。
- サンアントニオ・スパーズ:63勝
- ダラス・マーベリックス:60勝
- フェニックス・サンズ:54勝
- メンフィス・グリズリーズ:49勝
- ロサンゼルス・クリッパーズ:47勝
- ロサンゼルス・レイカーズ:45勝
- サクラメント・キングス:44勝
- デンバー・ナゲッツ:44勝
※サクラメント・キングスとデンバー・ナゲッツは戦績が同じですが、直接対決の結果サクラメント・キングスが3勝1敗となっていたので、サクラメント・キングスが上位にきています。
勝利数だけを見てみると、上記の通りとなっております。続いて、プレイオフのシードについても見ていきましょう。
- サンアントニオ・スパーズ:63勝(ディビジョン優勝)
- フェニックス・サンズ:54勝(ディビジョン優勝)
- デンバー・ナゲッツ:44勝(ディビジョン優勝)
- ダラス・マーベリックス:60勝
- メンフィス・グリズリーズ:49勝
- ロサンゼルス・クリッパーズ:47勝
- ロサンゼルス・レイカーズ:45勝
- サクラメント・キングス:44勝
勝利数で見た場合、8位だったデンバー・ナゲッツが、ディビジョンで優勝したことで、第3シードを確保していることがわかりますよね。
本来の勝利数を元にしていれば、60勝をあげたダラス・マーベリックスが第2シードを獲得しているはずでしたが、ここで逆転現象が起こり、ダラス・マーベリックスは第4シードとなったのです。
2008年、2016年とルールの改正が行われ、2016年のプレイオフからはディビジョンでの優勝に関係なく、カンファレンスでの勝利数・勝率を元にした順位によって、プレイオフの第1~第8シードが決められるようになりました。
レギュラーシーズンの順位決定方法
プレイオフのシードを獲得するためには、レギュラーシーズンの順位が重要であるとよくわかっていただけたのではないでしょうか。
簡単に、レギュラーシーズンの順位決定方法について紹介します。
- 勝率
- 直接対決の結果
- ディビジョン内の対戦成績
- カンファレンス内の対戦成績
1番上の「勝率」が最も優先され、勝率が同じだった場合には直接対決の結果→ディビジョン内の対戦成績→カンファレンス内の対戦成績という流れで決定されます。
なお、4つの全ての項目をチェックするわけではなく、勝率が同じだった場合に直接対決の結果を基準にし、直接対決でも同じだった場合にディビジョン内の対戦成績を基準にしていきます。
よほどのことがない限り、基本的には1つ目の「勝率」だけで順位が決定されていきますので、後ろの3つについては覚えておかなくても問題ありません。
最終的には全チームが82試合を戦い終えた段階で順位が決定されるため、「勝利数」で決定されていると言っても問題ないでしょう。
なお、レギュラーシーズン中は、日程によっては消化している試合数に差があり、勝率で暫定順位を決定することになるため、統一するために「勝率」としているものと思われます。
プレイオフのシード決定方法
レギュラーシーズンの順位決定方法について紹介しました。
プレイオフの1〜6位シードを決定する場合には、また別の方法が取られます。
- 勝率
- 直接対決の結果
- ディビジョン内の対戦成績(同一ディビジョンに所属している場合)
- カンファレンス内の対戦成績
- 所属するカンファレンスで、プレイオフに進出するチームとの対戦成績
- 所属しないカンファレンスで、プレイオフに進出するチームとの対戦成績
- 総得点
プレイオフのシードに関しては、上記の項目に則ってシードの順番が決められていきます。
レギュラーシーズンの順位を決める時と同様に、こちらも基本的には勝率によって決定されるので、後ろの6つについては覚えていなくても大丈夫ですよ。
プレイイントーナメントを勝ち上がった2チームが7位・8位シードを獲得
各カンファレンスの7位・8位シードは、プレイイントーナメントを勝ち上がった2チームが確保します。
プレイイントーナメントは、レギュラーシーズンの成績7〜10位までが参加するため、10位のチームが8シードを確保することもあります。
ちょっとややこしいですが、2023年にプレイオフではレギュラーシーズン7位だったマイアミ・ヒートが8位シードとなり最終的にNBAファイナルに出場したりもしました。
NBAプレイオフの流れ
シードの順番も決定されると、いよいよNBAプレイオフの幕開けです。NBAのプレイオフは、4つのフェーズに別れています。
- 1回戦
- カンファレンスセミファイナル
- カンファレンスファイナル
- NBAファイナル
NBAファイナルまで勝ち残ったチームは、4つのフェーズをこなし、4つのチームと対戦をしていきます。
1回戦〜カンファレンスファイナルまでは、所属しているカンファレンス内のチームとの対戦となりますが、NBAファイナルは、もう一方のカンファレンスに所属していて、勝ち上がってきたチームとの対戦となります。
覚えておきたいNBAプレイオフのルール
ではNBAプレイオフ独自のルールについても紹介していきます。
レギュラーシーズンとは違い、プレイオフになって大きく変わるのは以下2つのルールです。それぞれについて詳しく紹介していきます。
- 1シリーズにつき7戦行い4戦先勝で勝ち上がり
- レギュラーシーズンの成績上位チームにホームコートアドバンテージがある
1シリーズにつき7戦行い4戦先勝で勝ち上がり
1つのチームとの対戦を「シリーズ」と言う言葉を用いると、1シリーズあたり最大で7試合行われ、先に4勝をしたチームが次のフェーズへと進出します。
例えば1回戦を5試合行い、4勝1敗となったチームはカンファレンスセミファイナルへと進出する、と言った具合です。
「4戦先勝」ですので、必ずしも7試合全てが行われるわけではありません。
NBAファイナルを対戦する2チームであっても、一方のチームは3つのシリーズを4勝0敗の最小試合数の12試合で勝ち上がってくることもあれば、もう一方のチームは3つのシリーズを4勝3敗の最多試合数の21試合で勝ち上がってくることもあります。
ですので、プレイオフを通しての疲労の蓄積具合も、チームによって大きく異なります。
レギュラーシーズンの成績上位チームにホームコートアドバンテージがある
各シリーズで行われる全7試合は、それぞれのチームの本拠地にて開催されます。
ただ、1シリーズにつき最大でも7試合と、”奇数”試合しか行われないため、平等に同じ回数本拠地で開催されるわけではないのです。
ここで重要になってくるのが「レギュラーシーズンの成績」です。
レギュラーシーズンの成績が良かったチームには、7試合のうち、4試合を本拠地で開催する権利が与えられます。これを「ホームコートアドバンテージ」と言います。
後ほど詳しく紹介しますが、プレイオフは本拠地で勝利することが非常に重要となってきますので、「ホームコートアドバンテージ」を獲得するのは、非常に有利になるわけです。
カンファレンスで1位だった場合には、カンファレンスファイナルまでは、ホームコートアドバンテージを確保できることになります。
NBAファイナルの舞台は、対戦チームとのレギュラーシーズンの成績によって、どちらにホームコートアドバンテージが与えられるかが、決められます。
なお、レギュラーシーズンの成績上位チームにホームコートアドバンテージがあるため、リーグで最も成績が良かった場合には、NBAファイナルまで全てのフェーズにおいて、ホームコートアドバンテージを確保できるのです。
NBAプレイオフの特徴
ではここからは、NBAプレイオフの特徴について紹介していきます。プレイオフには、レギュラーシーズンとは違う特徴がありますので、ぜひ注目してご覧ください。
ホームチームが圧倒的に有利
先ほど少し触れましたが、プレイオフの場合にはホームチームが圧倒的に有利です。
というのもプレイオフになると、レギュラーシーズン以上にホームチームへの声援が大きくなるんです。
ホームの圧倒的な声援を背に戦うホームチームは、精神的にも非常に戦いやすくなると言えますね。
また、以下の記事でも紹介していますが、プレイオフになると各チームは観客にTシャツをプレゼントし、一体感を持ってホームチームを応援します。
アウェイチームを応援する観客もいますが、ホームチームへの声援の方が圧倒的に多い(大きい)ので、アウェイチームは非常に苦戦するのがNBAプレイオフです。
ただ、シリーズを突破して次のフェーズに進むためにはアウェイでの試合にも勝利することが必要になるため、劣勢の中でも戦い抜く強さが必要とも言えます。
2019年のNBAファイナルは、6戦のうち5試合がアウェイチームの勝利によるものでした。
第1戦をホームのトロント・ラプターズが制してからは、残りの5試合は全てアウェイチームが勝利するという、珍しい出来事も起きています。
ディフェンスの激しさ
プレイオフに入ると、レギュラーシーズンを上回るほどのディフェンスの激しさが重要になってきます。
どれだけ自チームの調子が悪くシュートが入らなくても、相手の得点(自分たちから見た失点)を減らすことができれば、勝機も見えてくるからです。
プレイオフに入ると、どのチームも軒並みシュートの確率が落ちる傾向にありますが、それは独特の緊張感やディフェンスの激しさに起因します。
戦術
プレイオフは、どちらかのチームが4勝するまで試合が行われます。最低でも4試合は行われるということですね。
最大で7試合連続で同じチームと対戦することになるため、お互いの手の内はわかっているも同然。
その中で、ヘッドコーチがどのようにプレイヤーを使い分け、どのような戦術を駆使するのかも特徴の1つです。
レギュラーシーズン中は基本的に同じチームと2試合連続で戦うことはないので、プレイオフに入ってから初めて、同じチームとの対戦が連続することになります。
プレイヤーもヘッドコーチも、相手の手の内を知っているからこそ、ある意味相手を「騙す」ような戦術も勝利には必要になってくるんです。
NBAのプレイオフが7戦4戦先勝のフォーマットにできる理由
ここまでプレイオフの特徴などを紹介してきましたが、中でも大きな特徴なのがどちらかのチームが先に4勝するまで、最大で7試合を戦うというフォーマット。
日本のBリーグのプレイオフは最大で3試合行われ、先に2勝したチームが勝ち上がります(※3試合目は変則的な試合)。
Bリーグは基本的に土日の週末だけで1つのシリーズが完結するようなスケジュールとなっていますが、なぜNBAのプレイオフは、7戦4戦先勝のフォーマットにできるのでしょうか。
アリーナ
1つ目の理由は「アリーナ」です。基本的にNBAのチームは自分たちのチームが所有するアリーナを持っていますが、Bリーグのチームは市民体育館などをホームコートとしているチームがほとんどです。
ですので、チームが自由にアリーナを使うことができません。NBAのフォーマットですと、”最大で”7試合ですので、言ってしまえばいつシリーズが終わるかわかりません。
4試合で終わることもあれば、7試合で終わることもよくあります。要はシリーズがいつまで続くかわからないんですね。
それでもNBAは自分たちが所有しているアリーナなので、柔軟な対応ができます。だからこそ、シリーズがもつれたとしてもアリーナを確保することができるんです。
一方Bリーグの場合には、自分たちが所有している体育館ではないので、柔軟な対応ができません。
ただ、NBAは創設から数十年が経っているので準備にかけられる時間もBリーグとは全く違います。
準備にかけられる時間が違いすぎるので、単純な比較はするべきではないでしょう。
ですので、BリーグがNBAのようにフォーマットを寄せていくまでには、まだまだ時間がかかるでしょう。
集客の面
2つ目の理由は「集客の面」です。
NBAはレギュラーシーズン中から、平日でも試合を開催していますので、プレイオフが平日に開催されたところで、「観客動員数の目処が立てられない」という事態に陥ることはまずありません。
むしろ、注目度の高いプレイオフだからこそ、集客数は増加すると言っても過言ではないでしょう。
平日でも確実に集客が見込めるため、仮に中1~2日で試合を開催しても、1つのシリーズが終わるまでには1~2週間前後となります。
もしBリーグが土日開催だけで最大7戦4戦先勝のフォーマットにしたとすれば、1シリーズが終わるまでに2~4週間近くかかってしまい、スケジュールや体育館の確保を含めても、現実的ではありません。
「集客ができる」ということが、スケジュールの短縮などにも繋がっているのだと推測できますね。
まとめ
今回は、NBAのプレイオフ独特のルールや特徴、いつ開催されるのかなどを紹介してきました。
毎年4月から約2ヶ月間に渡って繰り広げられる激闘は、あなたに新たなドラマを見せてくれます。
レギュラーシーズン中とは違うプレイヤー達の気持ちの入り方、観客の熱気、そして自分自身の中で熱くなる何かを感じることができるでしょう。
見るものを熱狂させてくれるNBAプレイオフ。ぜひあなたも一緒に観戦しましょう!
▼ 最強コスパでNBAを視聴するための方法はこちらの記事でまとめています ▼