夏の移籍市場、冬のトレードデッドラインなど、NBAのトレードはよく起こりますよね。スーパースターの絡んだトレードや、有能なベテランプレイヤーの絡んだトレードなどなど。
そんな、よく耳にするトレードですが、専門用語が多すぎて理解が難しいと感じたことはないでしょうか?
そこでこの記事では、僕自身も勉強をしながらトレードの専門用語やルールについてまとめてみました。
目次
NBAのトレードの仕組み・ルールを簡単に
まずはじめに、NBAのトレードの仕組み・ルールから簡単に紹介していきましょう。トレード時に獲得・放出できるもののリストが以下の通りとなりますので、ご覧ください。
- 契約下にあるプレイヤー
- ドラフト指名権
- ドラフト指名プレイヤーとの契約交渉権
- ドラフト指名権を交換する権利
- 現金
プレイヤーやドラフトの指名権を用いて、トレードを行います。基本的にはトレード後のサラリーがサラリーキャップ内に収まる場合には自由にトレードを行うことが可能です。
トレード後のサラリーがサラリーキャップを超過する場合には、トレードエクセプション(※後ほど詳述します。)などを用いてトレードを行うことになります。
プロテクトとは?
ドラフト指名権をトレードする際には、「プロテクト」という制限を設けることができます。
例えば、ボストン・セルティックスからロサンゼルス・レイカーズに、2020年のトップ5プロテクト付き1巡目指名権がトレードされたとしましょう。
2020年の5月に開催される「ドラフトロッタリー」において、もしセルティックスがレイカーズにトレードした指名権が3位になった場合には、その指名権はレイカーズからセルティックスへと返還されます。
また、6位以下になった場合には、指名権は返還されることなくレイカーズにトレードされたままとなるのです。
「プロテクト」は指名権を守るための1つの制度と言えます。
トレードが解禁される日
トレードは、1年を通して行うことができるわけではありません。解禁日や、契約後何日経たなければトレードできないという決まりがあります。
- 新規の契約、ミニマム契約、2way契約から本契約へ移行したプレイヤー:12月15日or契約から3ヶ月後のどちらか遅い方
- 契約を結んだドラフト指名プレイヤー、2wayプレイヤー:1月15日or契約から3ヶ月後のどちらか遅い方
上記2つのパターンを覚えておけば問題ないでしょう。
また、レギュラーシーズンの2月に設定されるトレードデッドラインについては、後ほど詳述します。
夏の移籍市場が近づくと耳にするかも?!「サイン&トレード」とは?
夏の移籍市場が近づくとよく耳にするようになるトレードの形式に「サイン&トレード(S&T)」があります。
この「サイン&トレード」は、チームがただ放出するのではなく見返りを得たい場合に利用したり、プレイヤーが望むチームへのトレードをする場合に利用されます。
なぜ夏の移籍市場になると耳にするかというと、「サイン&トレード」は自分たちのチームのFAプレイヤーと契約を結んだ後に、他のチームへとトレードをするためです。
基本的にFAとなっているプレイヤーが、そのまま他のチームへと移籍をしてしまうと、前所属チームには何も見返りがありません。そこで、なんらかの見返りを得るために、「サイン&トレード」を敢行することがあります。
サイン&トレードが行われた例
それでは実際に「サイン&トレード」が行われたブランドン・ジェニングスの例を紹介していきましょう。
ブランドン・ジェニングスの「サイン&トレード」が行われたのは、2013年のオフシーズン。チームとプレイヤーの関係もまとめておきますね。
デトロイト・ピストンズ
- クリス・ミドルトン
- ブランドン・ナイト
- スラヴァ・クラフツォフ
⇅
ミルウォーキー・バックス
- ブランドン・ジェニングス
2013年のオフシーズンにミルウォーキー・バックスからFAになっていたブランドン・ジェニングスは、3年2400万$の契約を結んだ後に、「サイン&トレード」によってデトロイト・ピストンズへと移籍を果たしました。
移籍当時はミルウォーキー・バックスで1試合平均15点以上を稼ぐプレイヤーでした。
NBAのシーズン中の「トレードデッドライン」の期限は?
「トレードが解禁される日」という章で途中少し触れた「トレードデッドライン」についても紹介しておきますね。トレードデッドラインは、シーズン中にトレードを実施できる期限のことだと覚えてください。
トレードデッドラインを過ぎると、そのシーズン中はトレードを実施することができません。
毎年シーズンの16週目の木曜日に設定されていて、基本的には2月上旬の木曜日にトレードデッドラインが設定されます。
トレードデッドラインに関する詳しい内容は、以下の記事でも紹介しているので併せてご覧ください。
トレードデッドライン前後でよく聞く「バイアウト」「ウェイブ」
トレードデッドライン前後に限った話ではありませんが、よく聞く言葉に「バイアウト」と「ウェイブ」があります。
バイアウトとウェイブはどちらも「解雇」を意味しているのですが、若干の違いがあります。
バイアウトはプレイヤーとチーム側が双方合意のもとで解雇するやり方で、元々の契約通りの金額が支払われるわけではありません。一方ウェイブはチーム側が一方的に解雇をするやり方で、サラリーが満額支給されることになっています。
バイアウトやウェイブに関しては、以下の記事で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。
「トレードエクセプション」とは?
トレードを敢行する際に、時折「トレードエクセプション」というトレードの例外条項が利用されることがあります。このトレードエクセプションについても紹介していきます。
トレードの例外条項ですので、トレードエクセプションはサラリーキャップを超過しているチームが他のチームとトレードをできるようにするための方法です。
基本的にはトレード後のサラリーがサラリーキャップ内に収まる場合に、自由にトレードを行うことが可能なのですが、トレードエクセプションを利用すればサラリーキャップが超過していてもプレイヤーを獲得できるのです。
放出プレイヤーの年俸が高い方のチームが、獲得するプレイヤーの合計年俸との差額を1年以内限定で別のトレードの際に利用できる例外枠(トレードエクセプション)を獲得します。
チームA
- プレイヤーA:500万$
- プレイヤーB:400万$
- トレードエクセプション:100万$
⇅
チームB
- プレイヤーC:1000万$
上記の例を元に説明すると、チームBはサラリー1000万$のプレイヤーCを放出する代わりに、サラリー500万$のプレイヤーA、サラリー400万$のプレイヤーB、100万$のトレードエクセプションを獲得します。
「トレードキッカー」とは?
2019年の6月に、アンソニー・デイビスが「トレードキッカー」を破棄したというニュースが話題となりましたが、このトレードキッカーとはどのようなものなのでしょうか?
トレードキッカーは、トレードされたプレイヤーに支払われる手当のようなものだと考えましょう。全てのプレイヤーに含まれているわけではありませんが、当該シーズンのサラリーの15%が、トレードをした際に支払われるという制度です。
トレードキッカーを支払うのは移籍前のチームとなるのですが、移籍後のチームにはサラリーとして計上されます。そのため、プレイヤーのサラリーとは別でトレードキッカーのことも含めてトレードを考える必要があるわけです。
ただ、トレードキッカーを受け取るか受け取らないかは、プレイヤー自身が選択することができます。
アンソニー・デイビスの例
Anthony Davis will waive $4M trade kicker, per @wojespn
Lakers will now have $32M in cap space pic.twitter.com/zHeNpSfCqz
— Bleacher Report (@BleacherReport) June 27, 2019
アンソニー・デイビスがレイカーズにトレードされましたが、アンソニー・デイビスの契約にはトレードキッカーが含まれていました。
トレードキッカーは当該シーズンのサラリーの15%となっているため、トレードキッカーを破棄しなければアンソニー・デイビスは$27,093,019の15%となる約400万$を受け取ることができたのです。
もし破棄しなければ、この約400万$は移籍前のチームであるペリカンズが支払い、移籍先のチームであるレイカーズのサラリーキャップに計上されることになっていました。
ただ、トレードキッカーを破棄したことで、レイカーズのサラリーキャップには計上されなくなり、結果的にレイカーズ側は大きなキャップスペースを作り出すことができたのです。
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まとめ
トレードに関する専門的な知識や、ルールを簡単に紹介してきました。
トレードは、トレードデッドラインからNBAファイナルの最終戦までの期間を除き、全ての期間中に起こりうるものです。Twitterでもよく見かけますよね。
ただ、専門的な用語を知っていないとなかなかついていけなかったり、理解できないところもあると思いますので、この記事をきっかけに得た知識を元に、予想を立てたりトレードを楽しんでもらえたらと思います。