NBAは、圧倒的なプレイに目がいくのは当然ですが、よりNBAの世界にのめり込んでいくと、様々な契約に関する用語を目にするようになります。
契約に関する用語は、知っておくとより一層NBAを楽しむことができますから、この機会に学んでおきましょう!
目次
NBAのマキシマム契約の用語解説
まずはじめに「マキシマム契約(マックス契約)」について紹介しますね。マキシマム契約というのは、その名の通りリーグが定めた最大の年俸で契約できる契約形態のことを指しています。
「マキシマム」=「最大」の年俸というのは、毎年定められるサラリーキャップ(※後述します。)に、NBA在籍年数ごとに定められた一定の割合を掛け算することで算出されます。
- 1~6年目のプレイヤー:25%
- 7~9年目のプレイヤー:30%
- 10年目以降のプレイヤー:35%
(契約時のNBA在籍年数によって、サラリーキャップに掛け算をする割合が決まる。)
例えば、19-20シーズンでNBA在籍16年目となるレブロン・ジェームズは、サラリーキャップである$109,140,000の35%分である$38,199,000が19-20シーズン年俸となります。
2019年の夏にロサンゼルス・クリッパーズと契約したカワイ・レナードは、3年契約(最終年はプレイヤーオプション)を締結しました。
20-21シーズンでNBA在籍10年目になるクワイ・レナードは、21年のオフシーズンにFAになる権利を持っており、サラリーキャップx35%のMAX契約を締結する権利を得ることになります。
NBAのミニマム契約の用語解説
マキシマム契約の次に、ミニマム契約について紹介します。マキシマムとミニマムは相反する言葉で、マキシマムが「最大」を表しているのに対し、ミニマムは「最小」を表しています。
ミニマム契約はリーグが定めた最低保証年俸にて結ぶ契約形態のことで、サラリーキャップを超過していても、最低保証年俸であれば、どのFAとも契約を結ぶことができるのです。
ミニマム契約は、後ほど紹介する「例外条項」にも当てはまる項目ですので、覚えておきましょう。
NBAの契約に関する用語解説【FA】
ここからは、FA(フリー・エージェント)に関係する契約の用語を解説していきます。
完全FA
まずは「完全FA」です。完全FAとは、前に所属していたチームからの制約もなく、どこのチームとも契約を交わすことができる状態のことを指しています。
制限付きFA
続いては「制限付きFA」です。制限付きFAとは、前に所属していたチームからの制約がある状態のことを指しています。
チーム側から「クオリファイングオファー」を提示されたプレイヤーが、制限付きFAとなります。簡単に言うと、制限付きFAにすると、チーム側は放出と残留を柔軟に決められるんです。
詳しい内容に関しては、こちらの記事をご覧ください。
クオリファイングオファーは、提示した後に取り下げることも可能です。クオリファイングオファーを取り下げられたプレイヤーは、完全FAとなりどこのチームとも契約を結べるようになります。
クオリファイングオファー
こちらは、ルーキー契約の4年目が終了した時、またはNBA在籍年数3年以下のプレイヤーに対して、チーム側が提示できるオファーのことを言います。
クオリファイングオファーを提示されたプレイヤーは「制限付きFA」となり、どのチームからもオファーを受けることができますが、チームの意向次第で残留・移籍かが決まります。
クオリファイングオファーは、チーム側がプレイヤーの残留・放出を柔軟に決められる制度の1つとも言えるのです。
NBAのルーキー契約の用語解説
続いては、ルーキー契約について紹介していきますね。ルーキー契約とはその名の通り、ルーキー=1年目の時に結ぶ契約形態のことです。
ただ、「1年目の契約」を指している訳ではなく、1年目に結ぶ契約形態のことを指しており、ドラフト会議で指名される60名に関係してくる契約形態だと覚えておいてください。
ドラフト指名されたプレイヤーの中でも、1巡目に指名されたプレイヤーは、リーグが設定する「ルーキースケールサラリー」に基づいて年俸が決定されます。2巡目以降のプレイヤーは、最低保証年俸(ミニマム)であるケースが多いですね。
詳しい内容は以下の記事を併せてご覧ください。
NBAの契約に関する用語解説【トレード】
続いて、トレードに関する契約用語について紹介・解説していきます。
トレードの用語に関しては、以下の記事でさらに詳しく紹介しているので併せてご覧ください。
トレード
そもそも「トレード」と言うのは、いわゆる「交換」のことを指しています。チーム同士で合意があった上で、プレイヤーやドラフト指名権、現金を利用してトレードが行われます。
スーパースターをトレードで獲得する際には、プレイヤーやドラフト指名権が複数ずつ動くことがよくあるんです。
The Oklahoma City Thunder have agreed to trade Russell Westbrook to the Houston Rockets for Chris Paul, first-round picks in 2024 and 2026, pick swaps in 2021 and 2025, league sources tell ESPN.
— Adrian Wojnarowski (@wojespn) July 12, 2019
例えばこちらのツイートでは、ラッセル・ウェストブルックがクリス・ポール、ドラフト指名権4つでヒューストン・ロケッツへとトレードされていることがわかりますね。
1人のプレイヤーに対して、1人のプレイヤーと4つのドラフト指名権を放出しているわけです。
サイン&トレード
サイン&トレードと言うのは、先ほど紹介した「FA」状態のプレイヤーが、もともと所属していたチームと契約を交わしてから、希望するチームへとトレードすることを言います。
2019年のオフシーズンでは、サイン&トレードが目立ちました。
例えばブルックリン・ネッツからゴールデンステイト・ウォリアーズへ移籍したディアンジェロ・ラッセルや、フィラデルフィア・76ersからマイアミ・ヒートへ移籍したジミー・バトラーもサイン&トレードです。
通常、FAの状態から移籍をされてしまうと、そのプレイヤーがもともといたチーム側は、何も見返りを得ることができないので、タダ同然の放出となります。
そこでサイン&トレードを行うことにより、移籍しようとしているもともと所属していたプレイヤーと契約をしてからトレードを行うことで、トレードの見返りを得ることができるようになるんです。
トレードエクセプション
トレードエクセプションと言うのは、「トレード」のルールの中に設けられている例外条項の1つです。基本的にトレード後は、トレードを実施したチームのサラリーキャップ(※後述します。)の範囲内に収まるようにする必要があります。
ただ、トレードエクセプションを利用すると、サラリーキャップをオーバーした場合であってもプレイヤーを獲得できるんです。
トレードキッカー
トレードキッカーは、トレードされたプレイヤーに支払われる、いわば手当のようなものだと考えておきましょう。
全てのプレイヤーの契約内容に含まれているわけではありませんが、トレードされたシーズンのプレイヤーのサラリーの、15%分がトレードをした際に支払われると言う制度です。
トレードキッカーは、トレード元のチームがトレードキッカーを支払いますが、トレード先のチームのサラリーに計上されると言うものでして、2019年の夏にはアンソニー・デイビスがトレードキッカーを破棄したことが話題になりました。
アンソニー・デイビスがトレードキッカーを破棄したことで、ロサンゼルス・レイカーズにはマックス契約でプレイヤーを獲得できるだけの余裕を作り出すことができました。(結果的にカワイ・レナードは獲得できませんでしたが・・・。)
トレードデッドライン
トレードデッドラインは、シーズン中に設定されている、トレードが実施できる期限のことであると覚えておきましょう。
レギュラーシーズンが始まってから16週目の木曜日、東部時間の午後3時までは、トレードを行うことができるようになっており、その期限のことを「トレードデッドライン」と呼んでいます。
19-20シーズンのトレードデッドラインは、現地時間2020年2月6日(木曜日)となるでしょう。
トレードデッドラインに関する詳しい内容は以下の記事でも紹介しているので、併せてご覧ください。
NBAの契約に関する用語解説【サラリー】
続いては、サラリー(年俸)に関係する契約用語について紹介・解説をしていきます。
さらに詳しい内容は以下の記事でも紹介しているので、併せてご覧ください。
サラリーキャップ
サラリーキャップというのは、簡単に言うと「合計年俸の限度」のことです。
サラリーキャップはNBA側が「チームに所属しているプレイヤーの合計年俸は、この限度額以内にしてね」と決めています。
基本的には、前のシーズンの収支などをもとに、そのシーズンのサラリーキャップが決定。例えば19-20シーズンのサラリーキャップは、18-19シーズンの収支などをもとにしていると言うことになります。
19-20シーズンのサラリーキャップは、$109,140,000となっています。
ラグジュアリータックス
ラグジュアリータックスと言うのは、一定額超過した際にリーグ側に支払う罰金のような制度のことです。
サラリーキャップが「合計年俸の限度」であるのですが、実はラグジュアリータックスは、若干サラリーキャップを超過してもいいことになっています。
例えば、19-20シーズンのサラリーキャップは$109,140,000となっていますが、ラグジュアリータックスの支払いは$132,627,000を超過してから発生します。
全30チームあるNBAの中でも、人気のあるチーム・資金力のあるチームが当然存在していますが、NBAは戦力の均衡を図り、夏のFA市場が解禁された時に資金力のあるチームの一人勝ちを防ぐことが目的の1つです。
NBAの契約に関する用語解説【例外条項】
「例外条項」と言うのは、上述したサラリーキャップと大いに関係のある制度です。
基本的にサラリーキャップを超過しているチームはプレイヤーと新たな契約を締結することはできませんが、「例外条項」を利用すれば、契約の締結が可能になります。
タックスラインを超過した場合には当然ラグジュアリータックスをリーグに支払う必要がありますが、例外条項を利用すればプレイヤーの獲得も可能になると言うことです。
例外条項に関しては、以下の記事で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。
NBAの契約に関する用語解説【解雇】
続いては、「解雇」に関するNBAの契約用語を解説していきます。
詳しい内容は以下の記事でも紹介しているので、併せてご覧ください。
バイアウト
バイアウトとは、チームとプレイヤーが双方合意の元で契約を解除する仕組みを指しています。
ウェイブ
ウェイブとは、チームが一方的にプレイヤーを解雇する仕組みです。
バイアウトもウェイブも、行われるとその後2日間(48時間)のウェーバー期間が設けられ、その期間を過ぎると完全FAとなります。
NBAの契約に関する用語解説【その他】
ここからは、今まで紹介してこなかったものの、よく耳にすることになる契約の用語に関して紹介していきます。
プレイヤーオプション
プレイヤーオプションと言うのは、プレイヤーが現行の契約を続行して残留するか、FAになるかを選択できる制度です。プレイヤー主導のオプションです。
プレイヤーオプションを「破棄」するとプレイヤーはFAとなり、「行使」するとプレイヤーは残留となります。ただ、「破棄」をした場合には、翌年完全FAとなります。
2019年7月にロサンゼルス・クリッパーズと契約したカワイ・レナードは、3年契約の最終年(3年目)がプレイヤーオプションとなっており、3年目に残留するかFAになるかを選択することができます。
チームオプション
チームオプションとは、前述した「プレイヤーオプション」のチーム版だと覚えておきましょう。チーム主導のオプションです。
チーム側が、プレイヤーとの契約を続行して残留させるか、FAにするかを選択することができる制度です。
ルーキー契約を結んだ1巡目に指名されたプレイヤーの、3年目と4年目はチームオプションとなります。
2way契約
続いて、2way契約について紹介していきましょう。日本では、渡邊雄太選手が、2018年7月にメンフィス・グリズリーズと2way契約を交わしたことで、広く名前が知られるようになった契約形態です。
NBA在籍3年目までのプレイヤーが締結できるもので、Gリーグのチームと、Gリーグのチームが提携しているNBAのチームの2チームを、行き来できる特殊な契約形態です。
NBAのチームに帯同できるのはシーズン中45日間と決まっていますが、Gリーグのレギュラーシーズン前、Gリーグのプレイオフ後は、日数に関係なくNBAのチームに帯同できます。
2way契約に関する詳しい内容は、以下の記事でも紹介しているので併せてご覧ください。
Exhibit10
「Exhibit10」(エキジビット10)契約とは、チーム側が望んだ場合には、開幕前に2way契約に切り替えることができる契約形態のことです。
エキジビット10契約はチームが望めば開幕前にツーウェイ契約に切り替えることができる1年契約。開幕前に解雇された場合でも、傘下のGリーグと契約したらボーナスがもらえる仕組みになっています。マイナーリーグのサラリーの低さを補い、選手が海外に流出することを抑えるための契約です。 https://t.co/OUnoQl4Mbu
— Yoko Miyaji (@yokomiyaji) June 23, 2019
八村塁選手のゴンザガ大学のジョシュ・パーキンスや、テーブス海選手のチームメイトであったデボンテ・ケイコックスらが締結した契約形態で、少し話題になりました。
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まとめ
NBAのコアなファンは、契約に関する用語を知っておくと、オフシーズンもNBAを存分に楽しむことができるでしょう。
レギュラーシーズン、プレイオフだけがNBAの魅力ではありません!プレイは当然のこと、どのプレイヤーがどんな契約形態でチームに所属しているのかを知るのも面白いですよ。
渡邊雄太選手や八村塁選手の影響もあり、「2way契約」や「ルーキー契約」については比較的日本人ファンの間でも知られているかもしれませんが、ぜひ「サラリーキャップ」や「エキジビット10」についても知っておいてくださいね!
今後さらに日本人プレイヤーがNBAに挑戦するとなれば、きっとまた耳にすることになりますから、今のうちに覚えておきましょう!