「プレイイントーナメント」という言葉は、19-20シーズン頃からよく耳にするようになりました。
NBAのコアなファンの間ではよく知られている言葉ですが、いまいち「正確なルールを知らない」ということもあるのではないでしょうか?
ということで、今回はプレイイントーナメントについてまとめています。今後もずっとこの形式が採用されていくかはわかりませんが、知識として持っておいて良い内容だと思いますので、ぜひとも最後までご覧ください。
プレイイントーナメントとは
プレイイントーナメントは、レギュラーシーズン終了後に実施される「プレイオフ」の出場権をかけて行われるトーナメント形式の試合です。
通常、レギュラーシーズン82試合を終了した時点の勝率などを基準として順位が決定され、各カンファレンスの上位1~8位がプレイオフに進出できる形となっていました。
プレイオフに関する詳しい内容は、「【徹底解説】NBAのプレイオフはいつ開催される?その特徴とは?」という記事をご覧ください。
プレイイントーナメントが実施されることで、レギュラーシーズンが終了した時点で8位以内に滑り込めなかったチームにも、プレイオフ進出の可能性が残されていることになります。
このように新しいルールが追加された背景として、「シーズン終盤の消化試合を回避するため」という点が考えられます。
従来のルールの場合、レギュラーシーズンの最終盤になるとおおよそ各カンファレンスの10位以下のチームは消化試合のようにしたり、主力を休ませたりしてしまい、ファンが最後まで楽しみながら試合を見られないケースもあったのです。
10位までプレイオフの出場可能性があるとなれば、おおよそ各カンファレンス12位までのチームがレギュラーシーズン最終盤までレベルの高い試合を展開し、ファンを楽しませることもできると、NBA側は考えたのではないでしょうか。
プレイイントーナメントに出場するチームの条件・ルール
プレイイントーナメントの出場条件は、レギュラーシーズン終了時点で各カンファレンス7~10位の4チームです。
プレイイントーナメントが開催される前までは、8位までに滑り込むことができなかったチームはプレイオフに出場できなかったので、プレイオフ出場の可能性が少し広がったと言えるでしょう。
一方で裏を返せば、レギュラーシーズン終了時点で8位に入っていればプレイオフに出場ができていたので、プレイイントーナメントの影響によって「8位に滑り込んでもプレイオフ出場は確実とは言えない」状況になったわけです。
19-20シーズンにはプレイイントーナメントが試験的に導入されましたが、その際は「8位と9位」の対戦のみでした。
また、「8位と9位チームのゲーム差が4ゲーム以内」という基準が設けられていたため、イーストで9位だったワシントン・ウィザーズは基準を満たせずプレイイントーナメントに参加できませんでした。
プレイイントーナメントの組み合わせ
先述したように、プレイイントーナメントが開催される限りは「8位に滑り込んでもプレイオフ出場は確実とは言えない」状況となったわけですが、プレイオフ圏内の7位と8位の2チームにはチャンスが2回用意されています。
Seven-Eight Game
こちらは、レギュラーシーズン終了時点の順位が7位と8位だったチームが、「7位シード」の獲得を競う試合です。
この「Seven-Eight Game」に勝利したチームは、7位シードでプレイオフへ。敗れたチームは、8位シード決定戦へと続きます。
Nine-Ten Game
こちらは、レギュラーシーズン終了時点の順位が9位と10位だったチームが、「8位シード決定戦」の獲得を競う試合です。
この「Nine-Ten Game」に勝利したチームは、8位シード決定戦へ。敗れたチームは、この時点でシーズン終了となります。
8位シード決定戦(※正式名称ではない)
「Seven-Eight Game」に敗れたチームと、「Nine-Ten Game」に勝利したチームが、8位シードの獲得を競って試合を行います。
そしてこの試合に勝利したチームは8位シードでプレイオフへ。敗れたチームは、この時点でシーズン終了となります。
7位or8位になったチームは、1勝でもすればプレイオフへと出場ができるわけですが、9位or10位になったチームは必ず2連勝しなければプレイオフには出場できません。
19-20シーズンに、今回と同様のルールが採用されていたら・・・
変則的なシーズンとなった19-20シーズンにも、プレイイントーナメントは開催されていました。
ただ、20-21シーズンとは条件が違ったため、ポートランド・トレイルブレイザーズとメンフィス・グリズリーズの1試合しか開催されませんでしたが、もし19-20シーズンも20-21シーズンと同じルールが採用されたらどうなっていたのでしょうか。
ウェスト
- Seven-Eight Game→ダラス・マーベリックス vs ポートランド・トレイルブレイザーズ
- Nine-Ten Game →メンフィス・グリズリーズ vs フェニックス・サンズ
19-20シーズンのプレイオフはオーランドバブルで開催されたわけですが、シーディングゲーム(1チーム8試合)を全勝しオーランドバブルを大いに盛り上げてくれたサンズも、出場できていたことになります。
イースト
- Seven-Eight Game→ブルックリン・ネッツ vs オーランド・マジック
- Nine-Ten Game →ワシントン・ウィザーズ vs シャーロット・ホーネッツ
八村塁選手が所属するワシントン・ウィザーズは、オーランドバブルで開催されたシーディングゲームには出場していましたが、19-20シーズンのプレイイントーナメント出場条件を満たすことができていませんでした。
ですのでもし20-21シーズンと同じルールが適用されていれば、プレイオフ出場の可能性は十分あったということになりますね。
【20-21シーズン版】プレイイントーナメントへの出場ライン予想
では最後に、20-21シーズン版のプレイントーナメント出場ラインを予想していきます。
NBAは、長らく「西高東低」と言われる構図となっており、イーストよりもウェストの方が争いが熾烈と言われています。ですので、過去5シーズンのデータを元に各カンファレンスの出場ラインとなる勝ち星数をあげてみました。
- ウェスト:32勝
- イースト:31勝
※あくまでも参考数値です。
当然シーズンによって変動があるためなんとも言えませんが、過去5シーズンの10位チームの勝率を平均した結果、20-21シーズンのプレイイントーナメントに出場するためのラインは上記の通りとなりました。
【20-21シーズン版】プレイイントーナメントの概要・対戦カード
日本時間2021年5月17日に、レギュラーシーズンの全ての日程が終了した20-21シーズンのNBA。
日本時間5月19日から開催される、プレイイントーナメントの概要について紹介していきます。
ウェスト
- Seven-Eight Game→ロサンゼルス・レイカーズ vs ゴールデンステイト・ウォリアーズ
- Nine-Ten Game →メンフィス・グリズリーズ vs サンアントニオ・スパーズ
19-20シーズンの覇者、レイカーズがプレイオフへのストレートインを逃し、プレイイントーナメントに回ることとなりました。
イースト
- Seven-Eight Game→ボストン・セルティックス vs ワシントン・ウィザーズ
- Nine-Ten Game →インディアナ・ペイサーズ vs シャーロット・ホーネッツ
19-20シーズンに、イーストのカンファレンスファイナルまで進んだセルティックスも、プレイオフへのストレートインを逃しました。
八村塁選手の所属するウィザーズは、最後の23試合で17勝6敗と大きく勝ち越したこと、そして勝ち星で並んでいたペイサーズに対して今シーズン3勝0敗だったことも功奏し、8位でのプレイイントーナメントへの出場権を獲得しました。
プレイイントーナメントへ進む際の順位が8位と9位とでは、大きく条件が異なります。
8位の場合には1試合でも勝利すれば良いのに対して、9位の場合には2連勝しなければプレイオフへ進むことはできないのです。
まとめ
プレイイントーナメントは、シーズン最終盤までファンに楽しみを与えようとしてくれた、NBAファンへの粋な計らいと言えるでしょう。
当然、プレイヤーにとっても「プレイオフの可能性が残っている」というのは、モチベーションになると僕は考えます。
ぜひこの記事を参考に今後のプレイイントーナメントをお楽しみください。