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富永・河村両選手が締結したNBAの「エグジビット10契約(Exhibit10)」はどんな形態?保証内容や本契約までの流れ、日本復帰の可能性などをまとめました。

2017年の労使協定の改定により新たに登場した契約形態の「エグジビット10契約(Exhibit10)」。

今までに4人の日本人がこの契約を締結しています。

  • 渡邊雄太選手:トロント・ラプターズ(2020年)
  • 馬場雄大選手:ダラス・マーベリックス(2019年)
  • 富永啓生選手:インディアナ・ペイサーズ(2024年)
  • 河村勇輝選手:メンフィス・グリズリーズ(2024年)

この記事では、そのエグジビット10契約がどんなものなのか、本契約までの流れはどんな流れが一般的なのかをまとめました。

また、日本に復帰するとしたら最短でどのくらいになりそうかということも推測ベースでまとめましたので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

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2024年7月7日

エグジビット10契約(Exhibit10)とは?

過去何人もの日本人プレイヤーが締結してきた「エグジビット10契約」とは何なのか、ここでしっかり学んでいきましょう。

エグジビット10契約の基本・概要

エグジビット10契約は、NBAにおける特定の契約形式の一つです。

NBAチームがプレイヤーと結ぶこの契約は、トレーニングキャンプに参加するための契約で、有望な若手プレイヤーを発掘するために使用されます。

なお、最低給与額での1年契約となっていて、レギュラーシーズン開幕前に2Way契約を締結することも可能です。

この契約の主なポイントは、プレイヤーがトレーニングキャンプ後にチームのロスターに残らなくても、Gリーグチーム(NBAの下部組織)でのプレーを保証されることです。

契約には5,000〜75,000ドルのボーナスが含まれており、60日間Gリーグチームでプレーした場合に支払われます。

 

▼ 2Way契約に関してはこちらの記事でまとめています ▼

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2018年11月5日

エグジビット10契約の歴史と背景

エグジビット10契約は、NBAの労使協定(CBA)の改定に伴い導入されました。この契約形式は、リーグが若手プレイヤーに対してより多くの機会を提供するために考案されたものです。

エグジビット10契約が初めて登場したのは2017年。それ以前はチームが若手や無名のプレイヤーを招待する際、10日間契約やトレーニングキャンプ契約に依存していました。

しかし、これらの契約には制約があり、プレイヤーの発展を長期的にサポートするには不十分でした。

エグジビット10契約は、このギャップを埋めるために設計され、プレイヤーがGリーグを通じてNBAに戻るチャンスを増やすことを目的としています。

運営者

数年前に導入された2Way契約も、若手プレイヤーの生活を安定させつつ、スキルを磨いてもらいチームとして育成するための目的があると言われています。

エグジビット10契約も、チームが有望な選手をより効果的に育成できるようにするための目的があるようですね。

エグジビット10契約(Exhibit10)のメリットとデメリット

若手の活躍の場・育成の場を増やすためのエグジビット10契約ですが、メリットは当然のことながらデメリットも存在します。

ここからはその2つの観点を紹介していきます。

エグジビット10契約のメリット

プレイヤーとチーム双方の目線で紹介します。

エグジビット10契約の最大のメリットは、プレイヤーとチームの双方にとって柔軟性が高いことです。

プレイヤー目線

プレイヤーはNBAのプレシーズンやトレーニングキャンプに参加し、チームに自分の能力をアピールしたり肌でNBAを体感したりする機会が得られます。

その後、Gリーグでのプレーを通じてスキルを磨き、再度NBAに挑戦する道も開かれるのです。

また、この契約には5,000〜75,000ドルのボーナスが含まれており、プレイヤーの生活費やトレーニング費用を補うための重要な収入源となります。(60日間Gリーグチームでプレーした場合に支払われる)

チーム目線

チームにとっては、エグジビット10契約を通じて有望な若手を獲得・育成することができます。

トレーニングキャンプやプレシーズンゲームで、チームのニーズに合っているかどうかを見極めることが可能です。

さらに、Gリーグを通じてプレイヤーを長期的に育成することで、将来的にチームの戦力として活躍するプレイヤーを発掘できる点も大きなメリットです。

エグジビット10契約のデメリット

デメリットも、プレイヤーとチーム双方の目線で紹介します。

プレイヤー目線

まず、プレイヤーにとっては契約が短期間であり、NBAロスターに残る保証がない点・給与が保証されていない点が不安要素となります。

トレーニングキャンプ終了後にGリーグでプレーすることになると、NBAでのプレー機会が限られ長期的なキャリアプランに対する不安が残る場合も。

また、この契約のボーナスは全てのプレイヤーにとって十分な額とは言えません。

特に生活費やトレーニング費用が高額な地域では、このボーナスだけでは経済的な負担を完全にカバーできない場合があります。

チーム目線

チームにとってもエグジビット10契約はリスクを伴います。

プレイヤーが期待通りの成長を遂げない場合、契約終了後に他のチームに移籍されてしまう可能性があります。これにより、育成したのに他チームで活躍するという結果になりかねません。

エグジビット10契約(Exhibit10)がプレイヤーに与える影響

ではここから、エグジビット10契約を経てどのようにNBAへの道が切り開かれていくのか、どんな流れになるのかを紹介します。

プレイヤーのキャリアパスへの影響

エグジビット10契約は、プレイヤーのキャリアパスに大きな影響を与えます。

この契約は、プレイヤーがNBAチームのトレーニングキャンプに参加し、自身のスキルをアピールする貴重な機会になります。

特に、ドラフト外だったりGリーグ出身、海外リーグ出身のプレイヤーにとって、エグジビット10契約はNBAでのキャリアを築くための重要な足掛かりになるんです。

仮にNBAチームと2Way契約や本契約が締結できないとしても、Gリーグでのプレーが保証されます。

これにより、実践的な経験を積みながら、自身のスキルを向上させることができる上、アメリカでシーズンを過ごすという体験も積むことができます。

そして、Gリーグでの活躍が認められれば、NBAチームからの本契約のオファーを受けるチャンスも増えます。

したがって、エグジビット10契約は長期的にNBAでのキャリアを築くためのステップとして機能するんです。

エグジビット10契約から本契約に至る条件

エグジビット10契約からNBA本契約に至るためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。

そもそも、エグジビット10契約の次に目指すのは2way契約です。

Gリーグとトップチームを行き来しながら活動ができる契約形態で、ドラフト外からNBAに入った苦労人たちの多くは2Way契約から本契約を勝ち取っていきます。

運営者

渡邊雄太選手も、2020年シーズンにトロント・ラプターズとエグジビット10契約の次に2Way契約→本契約とステップアップしていきました。

2way契約を勝ち取るためにも、まずはトレーニングキャンプやプレシーズンで印象的なパフォーマンスを披露し、チームに対して自分の価値を証明する必要があります。

もし2Way契約になったとしてもならなかったとしても、いずれにせよGリーグでの出場機会がメインになってくるので、その期間中に

  • 安定した成績を残すこと
  • トップチームの求めるプレイができること
  • 監督の指示を遂行できること

などの能力があるかどうかが、重要になります。

エグジビット10契約を結んだ成功例

実際に、エグジビット10契約から本契約を掴んだ例を紹介します。

エグジビット10契約を経て成功を収めた例として、アレックス・カルーソがいます。

彼は2017年にエグジビット10契約をレイカーズと結び、その後2Way契約を締結。そして19-20シーズンに本契約を勝ち取りローテーション入りを果たし、優勝まで果たしました。

そして先述したように、渡邊雄太選手もトロント・ラプターズとエグジビット10契約の次に2Way契約→本契約とステップアップしていきました。

これらの成功例は、エグジビット10契約がプレイヤーにとって大きなチャンスであることを示しています。

エグジビット10契約(Exhibit10)と他の契約の違い

では、続いてエグジビット10契約と2Way契約、10日間契約との違いを紹介していきます。

(ルーキー契約やマックス契約などとは異なるため、今回はそれらの説明は省略します。)

エグジビット10契約と2Way契約の違い

エグジビット10契約と2Way契約は、どちらも若手を育成したり確保したりするための契約形態ですが、いくつかの重要な違いがあります。

エグジビット10契約は先述しているため紹介を省きますが、2Way契約はNBAとGリーグの両方でプレーすることを前提とした契約です。

プレイヤーはNBAチームのロスターに含まれ、最大45日間トップチームの活動に参加することができます。

2Way契約のプレイヤーは、NBAの試合に出場する日数に応じて給与を受け取るため、安定した収入を得ることが可能です。

エグジビット10契約の場合でも、NBAでのプレー期間中は、NBAの最低年俸に基づいた給与を受け取ることができます。

エグジビット10契約と10日間契約の違い

エグジビット10契約と10日間契約も異なる契約形態で、10日間契約は、その名の通り10日間の契約です。

NBAチームがシーズン中にプレイヤーを短期間評価するための契約で、シーズン終盤の3月上旬頃にちらほら見られるようになります。

特に、プレイオフ進出ラインのチームが即戦力になりうるかどうかを見るため、利用するケースが多いですね。

契約期間終了後、チームはプレイヤーと再度10日間契約(最大で3回まで締結できる)を結ぶか、シーズン終了までの本契約をオファーするかを決定します。

エグジビット10契約は若手育成のための手段で、10日間契約は短期間で即戦力を評価するための手段として機能します。

エグジビット10契約(Exhibit10)がチーム編成に与える影響

ここまでエグジビット10契約について見てきましたが、この契約が実はチーム編成に与える影響もあるんです。

チームのロスター構築における役割

エグジビット10契約は、NBAチームがシーズン前に有望な若手プレイヤーを評価し、育成するための手段です。

トレーニングキャンプやプレシーズン中にプレイヤーを試すことができるため、特定のポジションの強化を図る際に有効です。

ポイントガードを強化したいと思ったら、ポイントガードポジションの有望な若手を囲っておくこともできます。

シーズン開始前のキャンプやプレシーズンゲームで、最適なロスターを構築する助けとなるんです。

エグジビット10契約の戦術的な意義

プレイヤーがトレーニングキャンプやGリーグでの経験を通じてチーム戦術を理解し実践することで、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献します。

トップチームとGリーグチームとが連携してプレイヤーをサポートするので、トップチームに必要なスキルを磨いたり、必要な能力を持つプレイヤーを評価できたりするわけです。

すると、シーズン中に怪我やトレードなどの予期せぬ事態が発生した場合でも、チーム戦術を理解したプレイヤーを招集できるんです。

特定のプレースタイルやシステムに適応できるプレイヤーを見極めることができるので、戦術的にも意義があると言えます。

エグジビット10契約(Exhibit10)を締結したプレイヤーはいつ日本に帰ってくるのか

さて、富永啓生選手や河村勇輝選手がNBAチームとエグジビット10契約を締結したことで、気になるのが日本に帰ってくるのかどうか。

ファンとしては、NBAの舞台で活躍しているところを見たいのも本音ですが、日本に帰ってきてまたプレイしてくれるかどうかも気になりますよね。

僕個人の推測ですが、最低でも1年は海外挑戦を続けると思っています。

それはエグジビット10契約が1年契約であることや、Bリーグのスケジュールとの兼ね合いが考えられます。

Bリーグのスケジュールとの兼ね合い

エグジビット10契約は、トレーニングキャンプ契約でその後Gリーグチームでプレイすることが保証されている契約形態です。

Gリーグで60日間プレイすることでボーナスを受け取ることもできますし、Gリーグで活躍を続ければトップチームに招集される可能性だってあります。

もし仮に60日間だけプレイして戻ってきたとしても、その時期はおおよそ12月下旬から1月上旬頃かと思われます。

この時期はBリーグもシーズン中盤・折り返しを迎えている段階で、チーム戦術や方向性も固まっており、新たなプレイヤーの獲得には慎重になるんです。

チームの調和を乱すわけにもいかないですし、戦術を変更するわけにもいきません。

いくらトップレベルのプレイヤーとはいえ、チーム事情を踏まえた際に渋々オファーをしないということも考えられるため、仮に戻ってくるとしてもNBA(Gリーグ)とBリーグのオフシーズンが重なる6月以降が望ましいと思います。

1年目がダメでももう1年チャンスがあるのではないか

そしてこれは僕の推測に推測を重ねたものになりますが、1年目で2Way契約や本契約を締結できないにしても、2年目もチャンスがあるのではないかと思っています。

そもそもエグジビット10契約は、有望な若手を育成したり囲ったりするために利用される手段です。

チームの方針に合わない場合にはそもそも契約締結をしないでしょうし、Gリーグでのプレイが保証されているので、現段階ではチーム方針に沿っている可能性があると考えられます。

契約解除をすると、他のNBAチームに強奪される可能性もあるため、長くでも2年ほどはチャンスをチームが与えるのではないかと思っています。

エグジビット10契約(Exhibit10)に関するよくある質問と回答

ここまでの記事内でも紹介してきた内容と一部被りますが、一問一答形式でわかりやすく紹介します。

Q: エグジビット10契約とは何?

A:NBAチームがプレイヤーと結ぶこの契約は、トレーニングキャンプに参加するための契約で、有望な若手プレイヤーを発掘するために使用されます。

選手はGリーグでのプレーが保証され、5,000〜75,000ドルのボーナスが含まれています。

Q: エグジビット10契約と2Way契約の違いは何?

A:エグジビット10契約はプレシーズンやトレーニングキャンプ中に選手を評価するための契約であり、Gリーグでのプレーが保証されます。

一方、2Way契約はNBAとGリーグの両方でプレーすることを前提とした契約であり、NBAの試合に出場する日数に応じて給与が支払われます。

Q: エグジビット10契約から本契約に至るためにはどうすれば良いの?

A:エグジビット10契約→2way契約→本契約という流れが一般的です。

トレーニングキャンプやプレシーズンで優れたパフォーマンスを見せ、Gリーグでのプレーを通じて成長を示すことが重要です。

まとめ

本記事では、エグジビット10契約についてかなり細かく紹介してきました。

この契約形態は、トレーニングキャンプに参加するための契約で、有望な若手プレイヤーを発掘するために使用されます。

プレイヤーにとってはNBAでのキャリアを築くためのチャンスになりますし、チームにとっては将来の戦力を見つけ出すチャンスとなります。

日本人プレイヤーも、NBAチームとこの契約を締結するようになってきているため、今後もよく耳や目にすると思いますが、そんなときはこの記事で学んだことを思い出してくれると嬉しいです!

 

参考サイト:https://www.hoopsrumors.com/2023/07/hoops-rumors-glossary-exhibit-10-contract-3.html

 


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2024年7月7日

ABOUTこの記事をかいた人

小学3年から10年間現役を続け、中学2年時にはジュニアオールスターにも出場。現在は年間100試合以上BリーグやNBAの試合を観戦している。大好きなチームはロサンゼルス・レイカーズ。大好きなプレイヤーはコービー・ブライアントとKCP。