今回はNBAの移籍・契約に関する言葉として使われる「バイアウト」について紹介していきます。また、併せてよく耳にする「ウェイブ」にも触れ、両者の違いについても紹介していきます。
NBAのトレードデッドラインが近づくと、「バイアウト」も「ウェイブ」もよく耳にする言葉ですので、ぜひこの記事を通してきちんとした知識を身につけてください。
目次
NBAの専門用語「バイアウト」とは?
バイアウト(buyout)というのは、チームとプレイヤーとの間に結ばれた契約を、チームとプレイヤーが双方合意の元で解約することができる制度のことです。
似たような言葉の1つとして「ウェイブ」がありますが、こちらはチームが一方的にプレイヤーを解雇することができる制度です。
バイアウトもウェイブも、プレイヤーがチームから離れることに変わりはありませんが、「双方の合意」があるのかどうかによって、大きく変わってくるのです。
バイアウトは「プレイヤー」から要求されることが多い
バイアウトは先ほども話したように「双方合意の元」に行われます。ということは、プレイヤーからチームに「バイアウトをしてくれ」と要求することになるのですが、なんとなくわかるでしょうか?
なぜかというと、チームが「放出したい」と考えた場合には「ウェイブ」を行えばいいからです。
ということは、基本的にチーム側から「バイアウトに応じてくれ」と要求することはない、というわけですね。
【考察】どんなプレイヤーがバイアウトを要求するのか
この章では、どんなプレイヤーがバイアウトを要求するのか、僕自身の考察も踏まえながら紹介していきましょう。
バイアウトについて、もう1度簡単に整理しておきましょう。
- プレイヤーとチーム双方合意の元、行われる
- プレイヤーから要求する
これらを踏まえてみると、要は、「チームを離れたいプレイヤーが要求をする」わけですね。チームから離れたくないと思っているプレイヤーが、バイアウトを要求することはあり得ません。
ではなぜプレイヤーはチームを離れたいのでしょうか?その理由はいくつか推測されますが、大きな枠で考えてみると「チームに不満を持っているから」でしょう。
自分自身があまり試合に出られなかったり、チームが黒星先行の場合だったりするとチームに不満を持つことが考えられます。
NBAプレイヤーにまでなって、「試合に出たくない」「負けてもいい」と考えるプレイヤーは絶対にいないですよね。であれば、当然試合に出られない場合・負けが混んでいる場合には、チームに不満を持つことになるでしょう。
特に、ベテランのプレイヤーであれば尚更です。中には「若手の指南役」という役割のためにチームと契約するプレイヤーもいますが、荒波に揉まれ続けている彼らは負けず嫌いですし、活躍したいという思いもあるでしょう。
ですので、上述してきた内容を踏まえてみると、「チームに不満を持つベテラン」がバイアウトの要求をしてくると考えられるわけです。
なぜプレイヤーはバイアウトを要求するのか
ではここからは、なぜプレイヤーがバイアウトを要求するのか、「チームに不満を持つベテラン」を中心に考えながら見ていきましょう。
優勝争いができるチームに行きたいから
まず1つ目に考えられるのは、「優勝争いができるチームに行きたいから」です。NBAチャンピオンは誰もが1度は手にしたい「栄冠」ですので、優勝争いが狙えるチームに行きたいと思うのは当然のことでしょう。
このように考えてみると、優勝争いから遠ざかっている下位チームに所属するプレイヤーが「バイアウトをしてくれ」と要求する可能性はあっても、その逆は考えにくいと言うことも想像できます。
バイアウトをすれば、ウェーバー期間(※後ほど詳しく紹介します。)を経て、FAになることができるわけですが、そうなればどのチームとも契約を結ぶことができるため、優勝争いができる上位チームから声がかかる可能性も十分にあります。
ベテランプレイヤーは、比較的ロールプレイヤー(※役割を忠実に果たすことができるプレイヤー)が多かったり、その経験値からチームに好影響を与えてくれるプレイヤーがいたりするので、最後のラストピースとして上位チームが獲得に乗り出すことが多いんです。
プレイタイムが欲しいから
続いて2つ目に考えられるのは「プレイタイムが欲しいから」です。NBAレベルになって「プレイしたくない」と思うプレイヤーはまずいません。みな、自分の力を見せつけたいと思っているでしょう。
ですので、プレイタイムを確保すべく、今のチームを離れたいと思うプレイヤーも当然出てきます。競争の激しいNBAですので、いつ自分が解雇され新しいプレイヤーが入ってくるかもわかりません。
自分自身の力を示したり、活躍している姿を見せたりしたいとなれば、当然NBAの試合でプレイをする必要があるわけですね。
だからと言って、バイアウトを成立させても必ずしも新たなチームと契約できるとは限りません。
バイアウト後に設けられる「ウェーバー期間」とは
先ほどから何度か登場していますが、バイアウトやウェイブが行われると、その後2日間(48時間)の「ウェーバー期間」が設けられます。
この期間中は、契約を引き継ぐ上で必要なキャップスペースのあるチームや、契約のサラリーよりも大きな「Disabled Player Exception」を利用できるチームなどが、バイアウトされたプレイヤーにオファーを出すことができます。
もし仮に複数のチームからオファーがあった場合には、その中で最も成績の悪いチームが優先されます。
このウェーバー期間を終えると、プレイヤーはどのチームとも契約ができる完全FAとなり、バイアウトされた時の契約内容とは全く違う契約を結ぶことも可能になるわけです。
18-19シーズンにレイカーズに加入したタイソン・チャンドラーは、サンズ時代のサラリーが13.5M$でしたが、レイカーズとはベテランミニマム契約を交わしました。
バイアウトの例
ここから、いくつかバイアウトの例を紹介していきましょう。
18-19シーズン タイソン・チャンドラー
[twitterEmbed url=”https://twitter.com/NBAonTNT/status/1058840466752450560″]まず1人目に紹介するのは、18-19シーズンにサンズからバイアウトされたタイソン・チャンドラーの例です。
チャンドラーは、サンズとの契約が残っていたものの11月5日にバイアウトされると、その後ウェーバー期間を経てロサンゼルス・レイカーズと契約をしました。
バイアウトをするにあたり、当該シーズンのサラリー13.5M$のうち、2.1M$の減額をしたそうです。
[twitterEmbed url=”https://twitter.com/ShamsCharania/status/1059488603917697026″]18-19シーズン エネス・カンター
[twitterEmbed url=”https://twitter.com/RealGM/status/1093607614032809985″]続いて2人目に紹介するのは、18-19シーズンにニックスからバイアウトされたエネス・カンターの例です。
カンターは、ニックスとの契約が残っていたものの、トレードデッドラインを過ぎた2月8日にバイアウトされると、その後ウェーバー期間を経て2月13日にブレイザーズと契約をしました。
ブレイザーズはインサイドの補強のため、カンターを獲得したのですが、その後3月25日にはチームの大黒柱であるユスフ・ヌルキッチがシーズン終了の大怪我を負ったため、その後はスタメンに定着。
ブレイザーズの、19年振りとなるカンファレンスファイナル進出にも大きく貢献しました。
バイアウトが活発になるのはトレードデッドライン前後
バイアウト自体はいつでも行うことができるのですが、特に活発になるのがトレードデッドライン前後です。
シーズン中いつでもバイアウトを行うことはできますが、チームはプレイヤーがプレイオフを闘う資格を得るために、トレードデッドライン前後にてバイアウトやウェイブを行います。
というのも、3月1日までにロスターに入っておかないと、例えチームがプレイオフに進出しても、プレイヤーはプレイオフに出場することができないからです。
プレイヤー側はプレイオフで闘いたいと思っていますし、チーム側がトレードデッドライン前後に通称「バイアウト市場」に出ているプレイヤーを獲得するのは、プレイオフを闘う上でのラストピースという意味合いも込められています。
ということは、プレイヤーにとってもチームにとっても、バイアウトはトレードデッドライン前後が最も的確であるとも言えるのです。
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まとめ
ウェイブやバイアウトは、トレード直後によく起こりうる制度の1つです。
毎年トレードデッドラインの2月上旬から下旬にかけて、よく目にすることになるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
大きな違いがない「バイアウト」と「ウェイブ」という言葉ですが、しっかりとした違いを把握しておくとNBAの移籍事情も楽しみながら見ることができるでしょう。
参考:https://www.sportsnet.ca/basketball/nba/nba-contract-buyout-faq-key-dates-salary-cap-impacts/
若いプレイヤーの場合には、チームから「君を中心にチームを作っていく」「今は成長するための期間だから」のように声をかけられるでしょう。そんなチームから離れていきたいとは思わないはずです。
また、あまりプレイタイムが得られない若手であっても、プレイできるチームがあるわけですから、自分からいそいそと「出ていきたい」なんて言わないですよね。