大人にとって仕事が楽しいことばかりではないのと同様に、子供にとってもバスケの練習が楽しいことばかりとは限りません。
試合に出るためには頑張って練習をして上手くなる必要がありますし、1つ1つできることを増やす必要もあります。
ですので、コーチがメニューに組み込んだ内容が、ある子供にとっては当たり前にできることでも、ある子供にとってはできないことかもしれません。そんな時は、思っていなくても「できない」と言葉に出してしまうのが子供ですよね。
何気なく言っているかもしれませんが、この「できない」という発言を積み重ねていくと、挑戦できない子になってしまいます。子供の可能性を広げるためには、この「できない」という思考を変えてあげる必要があります。
では、なぜその必要があるのかを、まずは紹介していきましょう。
目次
「できない」発言を「難しいな」→「やってみる!」の思考へと変えてあげよう
「できない」という発言を積み重ねていくと、無意識のうちに「今の自分にできることしかやらない」子供、ひいては大人になってしまいます。
今までの人生で培ってきた経験から、今の自分にはできるのかできないのかを判断しているので、「できない」発言を続けていくと「今の自分にはできないことをやらない」という生き方になってしまうのです。
きっとあなたの子供も「できない」という言葉は、何の気なしに使っているでしょう。まだまだ言葉の意味を深く考えるような年齢ではないですよね。
だからこそ、今のうちから「できない」を積み重ねさせるのではなく、まずは「難しいな」と考えてもらうようにして、「やってみる!」という思考へとあなたが誘導してあげてください。
「できない」と「難しい」の違い
「難しい」という言葉は、すでに「やる」前提になっているので「今の自分にできる / できない」関係なしに、挑戦してみるというニュアンスがあります。
どちらの言葉もネガティブに聞こえるかもしれませんが、圧倒的に「難しい」の方が前に進もうとしている気持ちが現れています。
「困難に挑戦する」と「不可能に挑戦する」だと、前者の方が自然な表現ですし、耳にする機会もきっとあるでしょう。
まだまだ言葉の意味を深く考えるような年齢ではない子供にとっては、「できない」と「難しい」の違いに気づくまでには時間がかかるかもしれません。
そこで、自然と発する言葉が「できない」ではなく「難しい」になるよう、誘導してあげましょう。
「難しい」→「やってみる!」へと誘導してあげよう
そして「難しい」という言葉を引き出すことができたら、今度は「やってみる!」へと誘導をしてあげましょう。
「今の自分には難しい(できない)」と思っているだけで、実際にプレイしてみたら「できる」かもしれません。
やっていないからこそ「今の自分には難しい(できない)」と思っているでしょうから、どんなに不恰好でも実際に動くという習慣を身につけてもらいましょう。
「できない」発言をすると、本人にどんな影響があるのか
「できない」発言を繰り返していくと、今まで自分がやったことがない分野に対して「できない」を自然と発するようになってしまいます。すると、何も挑戦をしない子供・大人に成長してしまいます。
これでは、例えチャンスが目の前に転がっていたとしても、手にすることはできません。
用意されたレールに沿って歩くことしかできず、自分が本当に興味のあることややってみたいことなど「レールの横道に逸れる」という行動を起こさなくなるでしょう。
「レールの横道に逸れない」ということは、自分自身が今後新たな経験をしたり知識を得たりするチャンスを、掴み取りにいっておらず、自身の可能性を制限しているのです。
僕自身も普段から社員を相手にマネジメントをする機会がありますが、自然と「できる / できない」で物事を判断し、自分自身の可能性を制限してしまうケースを目の当たりにしています。
それでは、新たな知見を得たり業績を上げたりすることは難しくなります。大人になってから「できる / できない」で物事を判断するクセを直すことは難しいので、子供のうちから教えてあげるのがベストです。
「できない」という発言をしていたら、「難しい」→「やってみる!」へと誘導をし、「今の自分にできるかどうか」で判断しないような考え方を身につけてあげてください。
「やってみる」思考になってもらうためにやるべきこと
では、実際に「できない」と発言が起きた場合、どのようにして「難しい」→「やってみる!」の思考へと誘導をすればいいのでしょうか?
「こんなのできないよ。」と言われてしまった時に、ぜひかけてあげてほしい言葉を紹介します。
- 『まずは1回やってみようよ。もしかしたらできるかもしれないでしょ?』
- 『そうかもしれないね。だからこそ、練習しよう!』
- 『1番の失敗って何だと思う?何も挑戦しないことなんだよ。』
そして、実際に行動した時に、もし子供が「やっぱりできなかった。」と言ってきたとしても、「どんなところが難しかった?」だとか「ここの動き方はよかったよ!次はここを意識してみよう。」のように、「できる / できない」という言葉を使わずに話しかけてあげてください。
当然、初めてやるプレイは身体の使い方がわからなかったりイメージができなかったりするので、難しいと感じるはずです。しかし、そこで「ポジティブ」な声をかけてあげれば、きっと子供も前向きになってくれるでしょう。
初めは「できない」と言っていたことも、プレイをさせた上でポジティブな言葉をかけてあげれば、自然と「難しい」へと思考が変わり、より上手く実行するためにはどんな風にすればいいかを考えてくれます。
ちなみに3つ目に紹介した『1番の失敗って何だと思う?何も挑戦しないことなんだよ。』こちらは、難しい問いかけになると思うので、使いどきは選んだ方が良いでしょう。
できなかったとしてもポジティブな言葉をかけてあげよう
きっと初めてやるプレイや、「できない」と発言したプレイは、実行してみても上手くいかない可能性の方が高いでしょう。しかしそこで、「なんでできないの?」のようにネガティブな言葉はかけないよう意識してあげてください。
仮に口調が優しかったとしても、ネガティブな言葉をかけられた子供は「自分にはできないんだ」と考えてしまいます。
まずは「できない」と言っていたプレイをできるようにするために、行動をしたという点を褒めてあげて欲しいのです。そして、もっと上手く動くためには何をすべきなのかを考えるための、きっかけを与えてあげてください。
実際にプレイをしたら「できなかった」という事実が現れるかもしれませんが、それは「できるようになる」前兆であり、子供自身が「挑戦をした」という成長でもあります。
たった1つの事実であっても、解釈の仕方はさまざまです。ぜひ、ポジティブな解釈をして、ポジティブな言葉を子供にもかけてあげてください。
まとめ
「できるかどうか」を基準に物事を判断してしまうのは、大人の悪いクセでしょう。新たな世界に飛び込んだり、今と違う環境になってしまうのが怖かったりして、挑戦することを恐れてしまうのです。
果たしてそれが、自分自身のためになるのでしょうか?できないかもしれないけれど、とにかく挑戦をしてみれば、案外簡単にできたり新しい経験を得ることができたりするのです。
仮に失敗をしたとしても、挑戦したからこそわかった壁の厚さや経験値の違いがあるはずです。
自分の可能性を潰してしまうことにもなるので、ぜひ子供のうちから「できない」ではなく「難しいけどやってみよう。」と考えてもらえるように、誘導してあげてください。
大人になってから考え方や価値観を変えるのはなかなか難しいことです。バスケのプレイの中で「できない」と発言をしただけかもしれませんが、その考え方は無意識のうちに「私生活」や「仕事」にも現れるようになってきます。
ですので、今のうちから「難しいけどやってみよう。」という考え方を持てるよう、あなたが誘導してあげてください。