- あなたには圧倒的なスピードがありますか?
- ウサイン・ボルト並のスピードがありますか?
- 誰でも抜きされる爆発的なスピードがありますか?
あなたなら、この質問になんと答えますか?おそらく「ない・・・。」と答えるのではないでしょうか。
でもそれは、恥ずかしいことではありません。スピードがなくても活躍しているプレイヤーは数多くいます。あなたにも、もしかしたら大活躍できる素質が眠っているかもしれません。
今回の記事は、そんなあなたの素質を覚醒させるきっかけになるかもしれませんよ。スピードがなくても活躍しているプレイヤーが身につけている、「ロッカーモーション」について紹介します。
目次
スピードがなくてもディフェンスを抜き去れる「ロッカーモーション」
スピードがなくても、ディフェンスを抜き去ることができるテクニックの名前は「ロッカーモーション」と言います。
ロッカーモーションについては、まずは以下の動画をご覧ください。
【バスケ指導】ヘジテーション、ロッカーモーションの初歩2
この動画を見ていただくだけでどんなプレイかわかったのではないでしょうか?ロッカーモーションは、言葉で説明すると「行くと見せかけて行かないと見せて行く」テクニックです。
急激なストップをプレイの中に入れることでディフェンスを騙し(タイミングを外し)、ディフェンスが油断した隙を狙ってドライブインをしていく際に用いられます。
ロッカーモーションはヘジテーションと同じ意味
今回紹介しているロッカーモーションは、別名「ヘジテーション」とも呼ばれています。
ロッカーモーションの紹介の中でヘジテーションという言葉が登場してきているので、「どういうこと?」と少し疑問に思った人もいるでしょう。
ただ、ロッカーモーションとヘジテーションは、同じ意味合いとして捉えてしまっても全く問題ありません。
スピードの緩急をつけるプレイ(テクニック)のことを指す言葉でして、ロッカーモーションでもヘジテーションでも意味は同じなんですよ。
NBAのアイザイア・トーマスのロッカーモーション
ここからは、実際に試合中に使われてる場面を見ながら、ロッカーモーションについて学んでいきましょう。
今回紹介するのは、NBAの中でも小さなプレイヤーの代表格として知られている、アイザイア・トーマスのロッカーモーションです。
175cmながらも、2016-17シーズンには1試合平均28.9点を記録し、得点ランキングでも3位にランクインしました。点取り屋としてその名を馳せています。
そんな、点取り屋アイザイア・トーマスのロッカーモーションを見てみましょう。
[twitterEmbed url=”https://twitter.com/ct_nba/status/1177099335609114624″]スピードに乗りながら急激なストップをすることで、ディフェンスが完全に油断しているのがわかるのではないでしょうか?
ロッカーモーションを使ったことで、ディフェンスを完全に置き去りにしてフリーでシュートを打つことができています。
以下の動画では、解説付きでアイザイア・トーマスのロッカーモーションについて紹介しているので、こちらも併せてご覧ください。
ロッカーモーションで「タイミングのズレ」を作る
今回紹介している「ロッカーモーション」を上手く使いこなせるようになると、「タイミングのズレ」を誘発できるようになります。
ディフェンスは、オフェンスであるあなたに「タイミングのズレ」を作られてしまうので、守るのが非常に難しくなるんです。
オフェンスは、「タイミングのズレ」さえ作ることができれば、ディフェンスを抜き去ることができるんです。スピードがなくても、ですよ!
ではなぜ、圧倒的なスピードがなくても、ディフェンスを抜き去ることができるのでしょうか?次の章からその理由を説明していきます。
圧倒的なスピードがなくても「緩急」があればいい
圧倒的なスピードがないプレイヤーでも、ロッカーモーションを使うことによって「速い」「遅い」の緩急を生み出すことができるので、結果的にディフェンスを抜き去ることができるようになるんです。
数字を交えて、緩急について紹介していきます。以下の例をご覧ください。
- Aさん:トップスピードが100。
- Bさん:トップスピードが70。
※人間の出すことのできる最大のスピードが100だと仮定
例えば「100」のトップスピードを出すことができるAさんと、「70」までしかトップスピードが出せないBさんがいたとしましょう。トップスピードだけを見ると、Aさんの方が有利なようにも思えますよね。
では、仮にBさんが「緩急」を上手く使いこなしたと仮定してみましょう。
- Aさん:トップスピードが100。遅いスピードが70。
- Bさん:トップスピードが70。遅いスピードが10。
Bさんはトップスピード「70」と遅いスピード「10」を使いこなすことによって、「60」の落差を生み出すことができています。
一方Aさんは、トップスピード「100」と遅いスピード「70」と、「30」の落差しか生み出すことができていません。
スピードというのは、速くても段々と慣れていくものなので「30」しか落差を生み出せていないAさんのディフェンスは、Aさんに対して守りにくさを感じにくくなるでしょう。
Bさんは、トップスピードが「70」とAさんに比べて遅いものの、遅いスピードとの落差を「60」を生み出すことができているため、ディフェンスは守りにくくなるのです。
言ってしまえば、Bさんは10~70までのスピードを変幻自在に操ることができるんですね!
先ほど紹介したアイザイア・トーマスも、トップスピードがとても速いわけではありません。身体能力が抜群に高いというわけでもないんです。
しかし、ロッカーモーションを使って「緩急」を生み出しディフェンスとの「タイミングのズレ」を作ることで、ディフェンスを意図も簡単に抜き去っているんですよ。
ロッカーモーションを身につけるために
今回紹介している「ロッカーモーション」を身につけるためにまず大事なことは、「遅いスピード」でプレイすることを受け入れることです。
どうしてもディフェンスを”抜く”となると、スピードで走り勝った方が抜きやすいようにも思えますよね。「スピードが欲しい」「もっと速くなりたい」と思うのは当然のこととも言えます。
しかし、スピードというものはすぐに身につくものではありません。寝て明日起きたら急激に足が速くなっているなんてことはまずあり得ませんよね。
だからこそ、スピードがないプレイヤー、スピードに自信がないプレイヤーは、「遅いスピード」でプレイすることをまずは受け入れることが大切です。
ロッカーモーションをより際立たせるために
遅いスピードでプレイすることを受け入れる準備が整ったら、実際にロッカーモーションを使うためのトレーニングを行なっていきましょう。
簡単に言ってしまえば、速いスピードの中で1度ストップorスピードを落として、速いスピードを出すだけでロッカーモーションは成立します。
ただし、よりロッカーモーションを効果的に使う・際立たせるためにも「ストップ」を鍛えていきましょう。
ストップを鍛えるラントレーニング
ストップを鍛えるためのラントレーニングを紹介します。
- エンドラインからフリースローラインまでダッシュ。
- フリースローライン上で両足ストップ。
- フリースローラインからハーフラインまでダッシュ。
- ハーフライン上で両足ストップ。
- ハーフラインからフリースローラインまでダッシュ。
- フリースローライン上で両足ストップ。
- フリースローラインからエンドラインまでダッシュ。
- エンドライン上で両足ストップ。
このトレーニングを行うにあたっては、とにかくダッシュの時は自分自身のトップスピードで行い、ストップする時は急激にストップすることを意識しましょう。
体幹トレーニング
速いスピードとストップを、瞬時に切り替えるためのラントレーニングを行なったら、続いて体幹トレーニングを行なっていきます。
速いスピードからの急激なストップは、慣性の法則が働いて身体が進行方向に流れてしまいます。
慣性の法則とは・・・電車やバスが急ブレーキを踏むと、身体がバスや電車の進んでいた方向に流れてしまう原理のこと。急ブレーキでなくても、電車が止まるときにつり革などに捕まっていないとフラフラしてしまうことも、慣性の法則による影響です。
急激にストップをするまで進んでいた方向へ、身体が進もうとすることで慣性の法則が働くのですが、これは誰にでも起こることです。
バスケをしているときに、急激なストップをしても慣性の法則が働いて身体が流れてしまったら、思うようなプレイができなくなってしまいますよね。そこで、体幹を鍛えておく必要があるんです。
体幹トレーニングは身体がぶれないようにするためのトレーニングです。身体の根幹にある「体幹」を鍛えると、ストップした時に身体が流れにくくなります。
また、ストップだけでなく接触に動じない身体を手に入れられます。ロッカーモーションをより際立たせることができる上に、ディフェンスとの接触にも負けなくなるんですよ。
まとめ
今回はロッカーモーションというプレイについて紹介してきました。ロッカーモーションは、スピードに自信がない人・スピードに自信がある人、どんなプレイヤーにも身につけておいて欲しいテクニックです。
NBAで活躍しているガードのプレイヤーは、ロッカーモーションを上手く操ることで、ディフェンスを抜き去り得点をあげています。
特に欧米人に比べて身体能力で劣ってしまう日本人は、ただ身体能力で勝負するのではなく、ロッカーモーションなどの上手いプレイを覚えておかなければなりません。
この記事を参考にして、あなたもロッカーモーションを身につけましょう。
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