ミニバスのコーチングは何をすべき?
今回は、ミニバスチームのコーチや、指導をしている人にぜひ知ってもらいたい「コーチング」について紹介していきます。
おそらく、僕がこの記事や当サイト「Clutch Time」にて書いているメンタル面での内容は、他のサイトではあまり触れていない内容でしょう。
僕は「シュートが入らないのは当たり前」だと思っていますし、「スキルよりもメンタル」だと思っています。
なぜそこまでして僕がメンタルを身につけることに強くこだわっているのか、ぜひ感じ取っていただけたらなと思います。
目次
ミニバスは「メンタル」が超重要
ミニバスは、メンタル面が非常に重要になり、勝ち負けを大きく左右してきます。
年齢が上になればなるほど身体能力も徐々についていくので、実際のところ小学生のうちからスキルの部分を身につける必要はありません。中学生・高校生になってからでも努力次第で十分に間に合います。
しかし、メンタルの部分というのは、小さなうちに身につけておいたほうが後々効果を発揮します。高校生にもなると、ほとんどメンタルの部分も出来上がってしまいます。
例えばシュートが入らないことに対して「俺はシュートが入らない、下手くそなプレイヤーだ。」と高校生の段階で思っていると、なかなかメンタルを変えることは難しいでしょう。
小学生であればなんでも素直に吸収しようとしますし、シュートが入らなくても「俺はシュートが入らない、下手くそなプレイヤーだ。」と思うことはありません。実際僕自身が、シュートが入らなかったことに対して悲観的に思っていたことはありませんでした。
僕が言いたいことは、中高生になってくると自分の中での「常識」がある程度身についてきているため、そこから大きくメンタル面を変えることは難しいわけです。
その点小学生は、まだまだ世の中の常識は知らないですし、きちんとしたメンタル面の指導を行えば、自分自身の武器にしていくことができます。
ぜひミニバスのプレイヤーに指導をするときは、メンタル面を主に教えるようにして欲しいです。
小学生はやってみたいことに挑戦する
小学生は、やってみたいことにはとことん挑戦します。特に低学年であればあるほど、です。
大人(中高生含む)になってしまうと、どうしても「自分のできる範囲内でしかプレイしない」ようになります。試合ではそれでもいいのですが、練習中には、自分のできないことにどんどんトライしていく気持ちが必要です。
小学生は自分ができないことでも「やりたいからやってみよう」とします。そんな純粋で素直な小学生だからこそ、正しいメンタル面を鍛えてあげることは、非常に大きな財産になります。
チーム練習時の重要なメンタルのコーチング
基本的にこの部分をまずは実践してみてください。
「ミスをするな」とは言ってはいけない
よくコーチにありがちな「ミスをするな!」は言ってはいけない言葉です。勘違いしているコーチが非常に多いのですが、「ミスをするな」と言って、ミスを全くしないプレイヤーはまずいないでしょう。
そもそも、ミスをするなと言っているコーチですらミスをすることがあるわけですから、小学生のプレイヤーがミスをしないことなど到底不可能です。
ボールが上手くキャッチできなかったり、ドリブルがまだ手につくようにつけないことは、よくあります。そんなまだまだ未熟な子供達に「ミスをするな」というのは、愚問でしかありません。
小学生のうちは、とにかくミスをしてもいいのでたくさんのことを経験させたほうがいいんです。僕自身は、上手いプレイヤーほど「失敗の数が尋常じゃなく多い」と思っています。
初めから成功だけを求めていたら、全く才能あるプレイヤーには育たないでしょう。小学生のうちはミスを容認してあげてください。
ミスから学ぶことはたくさんあります。
「ミスをしてもいいから、積極的にプレイをしよう」とか「自分で考えてプレイをしてみよう」と伝えてあげてください。それだけで、「ミスをするな」と言われるよりもずっとプレイしやすくなるでしょう。
プレイヤー同士が話し合うきっかけを作る
ミニバスのうちから、プレイヤー同士が話し合いをできるようにきっかけを作ってあげてください。
小学生のうちはある程度練習量で強いチームを作ることは可能ですが、週に5日も6日も練習をしていたら、いつしか嫌嫌プレイすることになるでしょう。
そんな状態で強いチームを作っても、プレイヤーのためにはなりません。
僕自身の体験を踏まえてあなたに言いたいことは「強いチームを作るのは練習量・メニューじゃない」ということです。
とにかくチームメイト同士の考え方を共有し、プレイヤー自身に自覚を持たせることです。
詳しいことは以下で紹介している記事に書いてありますので、併せてご覧ください。
チームメイトが自分のしたかったプレイを伝え、相手のプレイヤーのしたかったプレイも聞くことで、お互いに尊重する気持ちが生まれますし、考え方の共有ができます。
初めのうちはプレイヤーから進んで話し合いをすることは難しいかもしれないので、意図的に話し合う機会を作ってあげましょう。
例えば、練習中にミスが起きたら1度練習を止め、ミスに関与していたプレイヤーに話を聞いてみましょう。
そして
- なぜミスをしてしまったのか
- 両者がしたかったプレイ
- 次からはどうすればミスすることなくプレイに繋げられるのか
を明確にしてあげるのです。小学生のうちはわからないことだらけですから、はっきりと順序立てて整理してあげてください。
そして最後に「上手く行かなかったプレイがあったら、話をしよう」などと、プレイヤー同士が自発的にコミュニケーションを取れるように促してあげてください。
ミスをすることは偉いわけではない
ミスをすることは偉いわけではありません。極力ミスは減らすことが大切です。それはプレイヤー自身にも理解させてあげなければならないので、次に同じプレイをする時にはミスをしないように努力をしよう・どうすればミスじゃ無くなるのか考えよう、と伝えるのです。
例えば1度パスミスをしてしまったとして、直後に同じようなパスミスをしてしまったとしましょう。その時は「1度目のミス」を活かせていないということにもなるため、きちんと確認をしてあげてください。
あくまでもミスを容認する理由は「今後の成長のため」です。同じミスを繰り返してしまうのは、プレイヤーだけではなくコーチにも責任があります。
よく観察をし、同じミスを何度も繰り返すようであれば、どう改善すればいいのか・なんで同じミスを繰り返してしまうのかを話し合いながら、「ミスから何を学び、どう活かせばいいのか」を教えてあげてください。
怒り口調はだめ
ミスをしてしまいプレイを止めて両者の話を聞く時には、怒り口調で聞いては絶対にいけません。怒り口調で話してしまうと、プレイヤーは「ミスをしてはいけない」と感じたり「自分の意見を持つことがダメなんだ」と勘違いする要因にもなります。
プレイヤー同士の考え方を聞くというのは、あくまでもプレイヤー同士が自発的に話すための手助けです。
怒り口調で話すということはやめ、プレイヤーが「自分の考え方を伝えることは大事なんだ」「相手の考えも聞いてみよう」と感じてくれたら最高です。
そこから自発的なコミュニケーションが広がり、非常に雰囲気のいい練習・チームになるでしょう。
ミニバスは「シュート」のメンタルもコーチング!
基本的に小学生のうちはシュートが入らない方が多いでしょう。50%の確率でシュートを決められるプレイヤーはものすごく才能があります。
ただ、そんなに才能を持っているプレイヤーがゴロゴロいるというわけでもありません。ですから、シュートを打っても全然入らなかったり、リングに届かないというプレイヤーもいるはずです。
そんな時には「シュートは入らなくて当たり前なんだ」ということを教えてあげてください。
これは先ほど紹介した「ミスをするなと言ってはいけない」ということと、意味は似ています。
シュートも、ミスをしてもいいんです。ミスをすることを恐れていたら、シュートを打つことを辞めてしまったりシュートを打つこと自体が怖くなってしまうでしょう。
技術面を教えることはもちろんですが、シュートを打つ時のプレイヤーへのメンタルコーチングもしてあげてください。
詳しいことは以下で紹介している記事に書いてありますので、絶対に読んでください。僕の考え方を、ぜひともここまで読んでくれたあなたに共有したいです。
個人能力を高めるコーチングも必要
チームの中でエース格となっているプレイヤーに対しては、個人能力を高めるためのコーチングも必要です。それは、スキル・メンタルどちらもです。
特にメンタル部分は、エースとして自覚を持たせチームの勝敗を左右する役割を担っていることを伝えてあげましょう。
また、チーム力の向上にはどうしても個人能力の向上が必要不可欠です。
バスケはチームスポーツではありますが、個人が結集して成り立つスポーツですから、まずは個人の能力を高めていかないと勝てるチームにはなりません。
チーム力をアップさせるためにも、とにかく個人の能力を身につけることを口すっぱく説いてあげてください。
突き詰めるとバスケはチームスポーツですが、チームとしての力を十二分に発揮するためには、個人の高い能力が必要なんです。
メンタルトレーニングのために
おそらくコーチングをしている人たちは「とにかくスキルを身につけよう」と考えているのではないでしょうか?
スキルを身につけるための練習メニューを用意し、とにかくスキルアップに努める。そのコーチングを受けているプレイヤーは、当然メンタルよりもスキルの方が先に身についていくことでしょう。
プレイヤーにメンタルを身につけるためには、まずコーチが「メンタルを鍛えることは大事なことだ」と認識する必要があります。
自分自身が「メンタルを身につけることが大事」と思っていないのに、子供達に「メンタルを身につけよう」と言えるわけがないですよね?自分自身が信じているからこそ、胸を張って子供達に教えることができるはずです。
ですから、まずはコーチ自身がメンタル面を身につけましょう。
このサイトのメンタルのカテゴリー記事を読んでもらうだけでも十分ですが、「ハードワーク」という書籍は非常におすすめです。
2015年のラグビーW杯で、「史上最強の敗者」と言われた強い日本チームを指揮した「リーチ・マイケル」さんが著者を務めている、非常に説得力のある本です。
以下の記事にて「ハードワーク」についての僕的おすすめな理由などを書いているので、併せてご覧ください。
まとめ
ミニバスのコーチングは、とにかくメンタル面につきます。
スキルは運動神経が付いてきた中高生になってからでも遅くはありません。実際に、日本代表として長年活躍していた網野友雄氏(現:白鴎大学男子バスケットボール部コーチ)は、高校生になってからバスケを始めています。
その後、日本のエースにまで登りつめたのです。
まずは小学生のうちにメンタル面を身につけるところから始めていきましょう。コーチングをするあなた次第ですよ。