試合中って、いつタイムアウトが取れるのかな?それに、正直なところどんなタイミングの時にタイムアウトを取るのが効果的なのかわからない。
こんなあなたの悩みに答えます。
この記事を最後まで読めば、タイムアウトのルールやタイムアウトを取るべきタイミングをマスターすることができます。
僕は小学生の頃から10年以上バスケを続けています。プレイヤーとしても全国大会に出たり県選抜に入るなどして経験を積んでいる他、NBAの試合を年間300試合以上観ているため、NBAでタイムアウトがコールされるタイミングも試合を観ているとわかります。
そこで、今回は10年以上の経験のある僕がタイムアウトが取れる時と取れない時、タイムアウトを取ったほうがいいタイミングについて紹介していきます。
目次
タイムアウトのルール
ではまずはじめに、タイムアウトのルールから紹介していきます。JBAのルールブックを元に紹介します。
タイムアウトは1分間
それぞれのタイムアウトは、1分間とする。
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール18-2-1より)
タイムアウトは、1分間となっています。基本的には審判がタイムアウトをコールしたタイミングで1分間のカウントがスタートします。
また、タイムアウト開始から50秒・60秒(1分)が経つとテーブルオフィシャルズがブザーで知らせてくれるので、ブザーがなったら速やかにプレイヤーをコートへ送り出しましょう。
タイムアウトの回数は前後半合わせて5回
それぞれのチームに認められるタイムアウトの回数は:
- 前半(第1クォーターと第2クォーター)に2回
- 後半(第3クォーターと第4クォーター)に3回
ただし、第4クォーターで、ゲームクロックが2:00あるいはそれ以下を表示しているときには2回までしかタイムアウトをとることはできない。- 各オーバータイムに1回
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール18-2-5より)
タイムアウトは、前半2回・後半3回の合計5回まで取得することができます。
後ほど詳述しますが、タイムアウトは自分たちの悪い流れを変えるためであったり、相手の良い流れを断ち切るために用います。使い所を間違えないようにすることが大切です。
なお、前半に使わなかったタイムアウトを後半に持ち越すことはできません。
例えば前半はタイムアウトを1回しか使わなかったとしても、残っている前半の1回のタイムアウトを後半に持ち越すことはルール上できません。
先に請求したチームのタイムアウトとなる
両チームのコーチがタイムアウトを請求したときは、先に請求したチームのタイムアウトとする。
ただし、ファウルやバイオレーションが宣せられていない状況で、相手チームがフィールドゴールで得点したときに認められるタイムアウトは、請求のあと先に関係なく得点されたチームのタイムアウトとする。
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール18-2-7より)
場合によっては、両チームのコーチが同時にタイムアウトを請求することがあるでしょう。
その場合には、先にタイムアウトをテーブルオフィシャルズに請求したチームのタイムアウトとしてカウントされます。
なお、後ほど詳述しますが、タイムアウトは相手チームがフィールドゴールを決めたときにも請求することができます。
ただし、フィールドゴールを”決めた”チームはタイムアウトを請求することはできません。
得点したチームにタイムアウトが認められないことも
第4クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが2:00あるいはそれ以下を表示しているときにフィールドゴールが成功してゲームクロックが止められた場合、得点したチームにタイムアウトは認められない。
ただし、審判がゲームを中断させた場合は除く。【補足】審判がゲームを中断させた場合とは、審判が笛を鳴らしてゲームを止めたときや、得点されたチームにタイムアウトや交代が認められたときを指す。
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール18-2-8より)
第4クォーターとオーバータイム中には、2:00を切ってからフィールドゴールが成功するとゲームクロックはストップされます。
タイムアウトはゲームクロックが止まったときに取得することができるのですが、第4クォーターとオーバータイム中は2:00が切ってからはシュートが決まりゲームクロックが止まっても、得点したチームはタイムアウトを請求・取得することはできません。
タイムアウトを取得できるタイミング
タイムアウトのルールがわかったところで、続いてはタイムアウトを取得できるタイミングについて紹介していきます。
- ボールがラインの外に出た時
- 相手チームのシュートが入った時
基本的にはこの2つのタイミングになった時に、タイムアウトを取得することができます。
1つ目の「ボールがラインの外に出た時」というのは様々なシーンがあるのですが、例えばパスカットをしてコートの外に出た時、パスミスになった時などがあります。要は「オフィシャル席のタイマーが止まった時」にタイムアウトが取れると思っていてください。
タイマーが止まった時にはタイムアウトを取ることができるため、例えばプレイヤーが負傷して審判が時間を止めた場合やファールの時にもタイムアウトを取ることは可能です。
2つ目の「相手チームのシュートが入った時」というのは、試合が流れていく中で相手のシュートが入る場合がありますよね。その際にはタイムアウトを取ることができます。
「タイムアウトが認められる時機」は、次のときに始まる:
- ボールがデッドでゲームクロックが止められたとき
ただし、ファウルまたはバイオレーションのあとは、審判がテーブルオフィシャルズに伝達を終えたとき(両チームとも請求することができる)- 最後のフリースローが成功してボールがデッドになったとき(両チーム共請求することができる)
- 相手チームがフィールドゴールで得点したとき(得点されたチームは請求することができる)
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール18-2-3より)
上気したJBAのルールブックには、「最後のフリースローが成功したボールがデッドになったとき」という表記がありますが、フリースロー後のタイムアウトのルールは後ほど紹介します。
タイムアウトが取れない時
タイムアウトが取れない時というのは、
- タイマーが動いている時
- 自分のチームのシュートが入った時
基本的にはこの2つの時です。
1つ目の「タイマーが動いている時」というのは、オフィシャル席に設置されているタイマーの時間が止まらずに流れている時です。時間が流れている時にはタイムアウトは取れません。
2つ目の「自分のチームのシュートが入った時」というのは、先ほど「相手のシュートが入った時」にはタイムアウトが取れると書きましたが、自分たちのシュートが入った場合にはタイムアウトを取ることができないということです。
なお、前述した「タイムアウトを取れる時」であっても、「タイムアウトが認められる時機」が存在します。
「タイムアウトが認められる時機」はスローインを行うプレーヤーにボールが与えられたとき、あるいは最初のフリースローでフリースローを行うプレーヤーにボールが与えられたときに終わる。
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール36-2-4より)
タイムアウトの取り方
タイムアウトは、コーチかアシスタントコーチしか請求することができません。
NBAの場合にはプレイヤーが取得することもできますが、JBAのルールではプレイヤーがタイムアウトを取得することはできません。
タイムアウトを取る時はテーブル・オフィシャルに「タイムアウトをお願いします。」と伝えてください。タイムアウトを伝える際には、以下の画像のようにハンドサインもあるとより伝わりやすいでしょう。
テーブル・オフィシャルがタイムアウトだと審判に伝える時には、頭の上に「T」の字を作り伝えます。「T」の字がタイムアウトのジェスチャーですので、コーチとしてタイムアウトを取得する時にも使ってください。
なお、タイムアウトの取り消しや始まるタイミング・終わるタイミングは、JBAのルールブックに以下のように記載されています。
タイムアウトの請求は、スコアラーが審判に知らせるためにブザーを鳴らす前であれば取り消すことができる。
タイムアウトの始まりと終わり:
- タイムアウトは、審判が笛を吹いてタイムアウトのシグナルを示した時に始まる
- タイムアウトは、審判が笛を吹いて両チームをコートに招き入れたときに終わる
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール36-3-2、36-3-3より)
最後のフリースローが始まった場合のタイムアウトのルール
先ほど紹介していた「フリースロー後のタイムアウト」のルールについても紹介します。
最初のフリースローのボールがフリースローシューターに与えられた後にタイムアウトの請求があった場合、以下のときにどちらのチームにもタイムアウトが認められる:
- 最後のフリースローが成功したとき
- 最後のフリースローが成功しなかった場合は、あとにスローインが続くとき
- 与えられたそれぞれのフリースローの間にファウルが宣せられたとき
この場合、ルールの中で別途規定がある場合を除き、元々与えられていたフリースローを行ったあと、タイムアウトは新しいファウルの罰則が行われる前に認められる。- 最後のフリースローの後で、ボールがライブになる前にファウルが宣せられたとき
この場合、タイムアウトが認められたあと、新しいファウルの罰則が行われる。- 最後のフリースローの後で、ボールがライブになる前にバイオレーションが宣せられたとき
この場合、タイムアウトが認められたあと、スローインとなる。2個以上のファウルに対してそれぞれの罰則に定められているフリースローの「セット」やボールのポゼッションが続けて適用される場合は、それぞれの「セット」は個別に扱われる。【補足】この場合、それぞれの「セット」やスローインの前にタイムアウトが認められる。
(出典:JBAルールブック タイムアウトのルール36-3-6より)
こちらはJBAのルールブックに記載されている内容をもとに紹介していますが、なかなか分かりづらいところもあるかと思うので、抜粋して具体例などを紹介していきます。
最後のフリースローが成功しなかった場合は、あとにスローインが続くとき
最後のフリースローが成功しなかった場合には、どちらかのチームのリバウンドにより、プレイが再開されます。
その後、バイオレーションやアウトオブバウンズ、ファウルなどでプレイが中断され、スローインになるタイミングでタイムアウトを取得できます。
最後のフリースローの後で、ボールがライブになる前にファウルが宣せられたとき
これは、最後のフリースローを打ったタイミングで、例えば相手を掴む「ホールディング」や、オフェンス側が肘でディフェンスの動きを制限させる「オフェンスチャージング」の場合のことを指しています。
最後のフリースローの後で、ボールがライブになる前にバイオレーションが宣せられたとき
これは、最後のフリースローが「エアボール」になった時や、最後のフリースローがリング上にある時にボールを触るような「ゴールテンディング」になった場合のことを指しています。
やってはいけないタイムアウトの取り方
タイムアウトを取る時に、やってはいけないタイムアウトの取り方があります。現在は僕自身あまり目にしませんが、テーブル・オフィシャルに向かって「シュートが入ったらタイムアウト」と伝えるのはNGです。
監督からしてみたらいいかもしれませんが、テーブル・オフィシャルからすると「シュートが入ったら」というのはなかなか判断基準が難しいものです。
例えば、Aチームの監督が「Bチームのシュートが入ったらタイムアウト」と伝えたとしましょう。その後の最初のオフェンスでBチームはシュートを決められなかったものの、次のオフェンスでシュートを決めるケースはよくあります。
この際、テーブル・オフィシャルはタイムアウトをコールすべきなのか迷ってしまいます。タイムアウトをコールすると、場合によっては「お願いしていない」と監督が言ってくるケースもあり、非常に迷惑なタイムアウトの取り方なのです。
きちんと意思疎通をするためにも、適切なタイミングで「タイムアウトをお願いします。」と伝えるようにしてください。
タイムアウトを取ったほうがいいタイミング
ここからは指導者目線で、タイムアウトを取ったほうがいいタイミングについて紹介していきます。
NBAの試合を観たり、試合を経験してきた中から、僕が思うタイムアウトを取ったほうがいいタイミングに関しては、
- 相手のシュートが連続で決まっていて、自分たちのシュートが全く決まっていない時
- 試合時間残り10秒前後
大きく分けるとこの2つです。
相手のシュートが連続で決まっていて、自分たちのシュートが全く決まっていない時
相手のシュートが連続で決まっていて、自分たちのシュートが全く決まっていない時というのは、完全に相手に流れがあるということです。この状況を言葉を変えていうと、
と言えます。完全に相手に流れがあることの裏付けです。
例えば相手が8点連続で取っていて、その間に自分たちが無得点の場合にはタイムアウトを取った方がいいですね。この状況をNBAでは「8-0のラン」と言います。
ランをされてしまうと、点差がどんどん離れていきますから、点差が離れていく前に食い止めるための策をタイムアウトの時に伝えましょう。
もちろん、コートに立っているプレイヤーたちに立て直しをさせることがベストなのですが、それができない時にはタイムアウトを取りましょう。
試合時間残り10秒前後
試合時間残り10秒前後というのは、接戦の時だけです。1点差や2点差、3点差ともなると1本のシュートで同点あるいは逆転という事態になります。
特に、試合時間残り10秒くらいで負けている時には、必ずタイムアウトを取り、戦術を伝えてください。プレイヤーに任せるのは危険です。この際は指導者の手腕が試されます。
また、試合時間残り10秒前後でリードしている時には、無理にタイムアウトを取る必要はありません。90%の場合、負けているチームがタイムアウトを取るため、その間に「ディフェンスの守り方」や「オフェンスの時間の使い方」を指示しましょう。
タイムアウトを取る目的
「なんでタイムアウトを取る必要があるの?」という疑問に対して、ここからは答えていこうと思います。
タイムアウトを取る目的は、以下のようにまとめられます。
- 試合の流れを変える
- プレイヤーに指示を伝える
- プレイヤーを休ませる
試合の流れを変える
「試合の流れを変える」というのは、相手に傾いている流れを食い止める・自分たちの流れにすることを目的としています。
試合の流れを食い止めなければ、相手に完全に主導権を握られ試合に負けてしまいます。
タイムアウトは1分ほどの短い時間ですが、1度プレイを止めることで流れが一気に変わり、自分たちの流れを引き寄せることも可能です。
NBAの試合を観ていても、相手に流れがきた瞬間にタイムアウトをとり、立て直すというケースはよく観られます。
実際に、タイムアウトが明けてから10点差を逆転するというケースもありますし、僕は高校時代に前半で20点差離されていた試合で、タイムアウトを駆使したことで後半終了時に追いつき、延長で逆転して撃破した経験があり、タイムアウトに関しては重要さを理解しています。
プレイヤーに指示を伝える
試合時間残り10秒前後でタイムアウトを取るべきだという話は先ほどしましたが、タイムアウトではプレイの指示を伝えることも1つの目的です。
試合時間が少なくなった時だけではなく、上級者の指導者ともなると、前半残り数秒でもタイムアウトを取り、戦術を伝え確実に得点を取りに行くというシーンはよく観られます。1本1本1秒1秒を大切に、確実にモノにするという意志が現れています。
バスケは何が起こるかわかりませんから、20点差離していても、追いつかれることはよくあります。その際には1本1本のシュートが大事になってきますし、前半の最後のプレイや、各クォーターの最後のプレイも非常に重要です。
抜け目なく得点をしておくことが、勝利に直結する、ということを頭に入れておいてください。
プレイヤーを休ませる
プレイヤーを休ませるためなら、交代をさせることが最も手っ取り早いのですが、接戦ともなるとチームの中心となるプレイヤーはなかなかベンチで休ませておきたくはないですよね。
そんな時は、タイムアウトの時間を使ってプレイヤーを休ませましょう。体だけではなく心も休ませることを目的としたタイムアウトもよくあります。
ミニバスはタイムアウト取得を慎重に!
小学生がプレイするミニバスの場合には、タイムアウトの取得は慎重に行いましょう。
この記事でも紹介をしていますが、ミニバスは前後半共に1回ずつしかタイムアウトを取得することができません。さらに注意してほしいのは、後半に交代をしたい場合には第4Qのタイムアウト取得時しか交代できないルール、という点です。
そのため、試合を見ていく中でどのタイミングをタイムアウトを取得するか、というのは非常に判断が難しいでしょう。
ミニバスの場合は、より指導力が求められると思っておいてください。
まとめ:タイムアウトは賢く使うこと!
タイムアウトは回数が決められていますから、賢く使うということを頭に入れておいてください。
前半は2つまで、後半は3つまでのタイムアウトを取ることができますが、できれば後半のタイムアウトの2つは第4クォーターまで残しておきたいです。試合の流れが悪いからといって、後半の3つのタイムアウトを第3クォーターに取ってしまうと、その後の選択肢が減り何もできなくなってしまいます。
回数にも注意し、試合の流れにも注意をしながら、その都度ベストなタイムアウトをの使い方をしてみてください。
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