ゼロステップってなに?結局のところトラベリングを吹かれるんじゃないの?
NBAプレイヤー、ジェームズ・ハーデンやヤニス・アデトクンポなどのプレイでよく見られるユーロステップですが、にわかに「あれはトラベリングじゃないか?」という議論が巻き起こっていました。
しかし、なぜトラベリングがコールされないかというと「ゼロステップ」として見なされているからです。
ゼロステップというのは、トラベリングをコールされない3歩歩けるステップです。
言葉だけではわかりにくいと思うので動画を用いながら紹介していきます。
ゼロステップはどんなルール?
ゼロステップがどんなルールなのか説明していきます。
まずはこちらの動画をご覧ください。
この動画では、かなり極端にゼロステップを踏んでみました。
一見するとトラベリングにも見えるのですが、これがトラベリングではないんです。
動きながら足がフロアについた状態でボールをコントロールした場合、フロアについている足は0歩目とし、その後2歩までステップを踏むことができる。その場合、1歩目がピボットフットになる。
(出典::JBAルールブック トラベリングのルール25-2-1より)
今までであれば、ボールをキャッチした時についている足はピヴォットフット=1歩目とカウントされていました。そのため、動画で紹介しているステップではトラベリングになってしまいます。
しかし、ルールが改正されたことでボールをキャッチした時についている足は、ピヴォットフット=1歩目とカウントされなくなりました。そのため、動画で紹介しているステップでも、トラベリングではないんです。
ゼロステップがあるとユーロステップがやりやすい
ゼロステップという新しいルールができたことで、実質的には1歩多くステップを踏めるようになりました。
そのためユーロステップが非常に活かされやすくなっています。
ユーロステップはディフェンスを交わすことが目的で、ステップの方向を変えながらディフェンスを欺くことができます。
ゼロステップは審判もプレイヤーにとってもややこしい
新しくゼロステップが施行され、プレイの幅は広がりましたが困惑している審判もプレイヤーも数多くいます。
- 審判:瞬時にトラベリングかゼロステップか判断しなければならない
- プレイヤー:ゼロステップを叩き込まなければならない
審判にとっては非常に悩ましいところです。瞬時にトラベリングかゼロステップかを判断しなければならないからです。
トラベリングをコールすればチームからは「ゼロステップじゃないか!」と言われたり、トラベリングをコールしなかったら「トラベリングだろ!」と野次を飛ばされたり。
審判は技術面も求められますが、それだけではなく野次を飛ばされたり何か言われても、毅然とした態度でやりきる精神力が非常に重要です。ゼロステップの影響で、さらなる心労が増えそうです。
一方プレイヤーにとっては、今までトラベリングだと思っていたステップが、いきなり「ゼロステップ」としてトラベリングではなくなるため、身体に染み込ませるのが非常に大変です。
それに、審判によってはトラベリングをコールする場合もあるので、無難に行くのであればゼロステップは使わない方がいいでしょう。
まとめ
ゼロステップは新しいルールとして注目を集めていますが、日本で浸透していくまでには時間がかかりそうです。
日本の審判は、トラベリングに対してもかなり厳しめにコールをしますが、NBAの審判はゼロステップが施行される前から曖昧なトラベリングはコールせずにいました。
そのため、NBAのプレイヤーはゼロステップを使いこなせるようになっていますが、日本のバスケ界ではまだまだ慣れていないプレイヤーも多いです。
こういった時代の波に乗れるのがNBAで、乗れないのが日本なのかもしれないのですが、トラベリングを厳しく見ている日本の審判の特徴を考えてみると、自分がゼロステップだと思っていても審判はトラベリングをコールしてくるでしょう。
ゼロステップは、あくまでも「トラベリングにならないルール」として覚えておく程度にして、意識的には使わない方がいいでしょう。