トラベリングって「3歩以上歩いちゃいけない」っていうことはわかるんだけど、みんな3歩以上歩いてるよね?あれはいいの?
あ、あと、どんな時にトラベリングが起こりやすいのかも知りたいなぁ。
今回の記事では、トラベリングのルールや、どんな時にトラベリングが起こりやすいのか、について紹介していきます。
僕は今までに数百試合を経験し、数百試合を観戦してきましたが、その中からトラベリングが起こりやすいシーンを5つピックアップしました。
そして、最後まで記事を読めばトラベリングにならないための対策や、初心者が勘違いしているトラベリングのルールについて詳しく紹介しています。トラベリングに関して知りたい人は最後まで読み進めてくださいね。
目次
- 1 新しいトラベリングのルール「ゼロステップ」って?
- 2 そもそもトラベリングってどんなルール?
- 3 ルールブックを元に紹介!トラベリングのルール
- 4 トラベリングが起きやすい場面
- 5 ディフェンスの状況を見ずにプレイしている時
- 6 2人以上のディフェンスに囲まれた時
- 7 ドリブルを突き出す瞬間
- 8 ギャロップステップ
- 9 ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時
- 10 トラベリングを極力なくすために意識すべきこと
- 11 ディフェンスの状況を見ずにプレイしている時→ディフェンスを見る
- 12 2人以上のディフェンスに囲まれた時→ピヴォットを踏む
- 13 ドリブルを突き出す瞬間→ドリブルを先につく
- 14 ギャロップステップ→着地した後のことを考えておく
- 15 ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時→ボールをきちんと保持しておく
- 16 まとめ
新しいトラベリングのルール「ゼロステップ」って?
ゼロステップがどんなステップなのかについては、この動画をご覧ください。極端に、ステップについて紹介しています。
このゼロステップに関しては、「ユーロステップ」というドリブルシュート(レイアップ)の際のステップが大きな議論を生んだことが発端です。
JBAの発行するルールブックには、ゼロステップについて以下のように紹介されています。
動きながら足がフロアについた状態でボールをコントロールした場合、フロアについている足は0歩目とし、その後2歩までステップを踏むことができる。その場合、1歩目がピボットフットになる。
(出典::JBAルールブック トラベリングのルール25-2-1より)
今まではボールをキャッチしたときに床に着地した足がピボットフット(1歩目)でした。
しかし、ルールが新しくなったことで、ボールをキャッチしたときに床についている足はピボットフット(1歩目)とは見なされません。その次の足がピボットフットになる、ということです。
ルール改正前と後では、オフェンスは1歩多くステップを踏むことができるようになったため、プレイの幅が広がりました。
ややこしいのですが、ボールをキャッチしたときの1歩目をカウントしないことから、「ゼロステップ」と呼ばれるようになったのです。
審判にとってもプレイヤーにとってもゼロステップは複雑
この「ゼロステップ」は審判にとってもプレイヤーにとってもかなり複雑なルールです。なぜかというと、「ボールをキャッチした瞬間の1歩目」をどのように定義するのかが曖昧だからです。
審判によってもプレイヤーによっても、人それぞれ「ボールをキャッチした瞬間の1歩目」の考え方が違うからです。
そのため、僕の知り合いの審判もかなり戸惑っています。
プレイヤーとしても、自分がいいと思っていてもトラベリングをコールされることはあるので、ゼロステップは使わない方が無難です。今まで通りのステップを踏むことを意識してみてください。
そもそもトラベリングってどんなルール?
ここから、そもそもトラベリングがどんなルールなのかを紹介します。
トラベリングに対して、ほとんどの人は「ボールを持ったまま3歩以上歩いてはダメ」だと思っていることでしょう。しかし、厳密には若干違います。
トラベリングの説明をすると、かなりややこしくなるため、「ボールを持ったまま3歩以上歩いてはダメ」とよく言われていますが、もう少し厳密にトラベリングのルールを紹介していきましょう。
3歩以上動くことはできる
先ほどから何度か「ピボットフット」という言葉が登場しているのですが、気づきましたか?このピボットフットとは、「ボールを保持した時の、最初の1歩目」のことです。
ボールをキャッチした1歩目を「ピボットフット」と言います。このピボットフットを軸足といい、もう片方の足は、軸足が動かない限り、いくらでも動かすことができます。
これは「ピボット」と言います。ピボットがどんな動きなのかについては、以下の動画をご覧ください。
このような足の動かし方はルール上OKです。しかし、1歩目の足「ピボットフット」が動いてしまうと、トラベリングになります。動画の1つ目のような足の動きであれば、トラベリングが取られることはほとんどありません。
ピボットとは、コート上でライブのボールを持ったプレーヤーが、片方の足(ピボットフット)はフロアとの接点を変えずに、もう片方の足で何回でもどの方向にでもステップを踏むことができることである。
(出典:JBAルールブック トラベリングのルール25-1-2より)
ピボットを踏むことで、トラベリングを回避することができるようになります。
ルールブックを元に紹介!トラベリングのルール
この章では、トラベリングがどんなバイオレーション・違反なのかを、JBAが発行しているルールブックを元に紹介していきます。
ただ、ルールによって細かい決まりもあるので、どんな場面の時にどんな動きをするとトラベリングになるのかを、ルールブックを元に紹介します。
コート上でライブのボールをキャッチしたプレーヤーのピボットフットの決め方:
- フロアに両足で立ったままボールをキャッチしたプレーヤーの場合:
ー片足を上げた瞬間、もう片方の足がピボットプットになる
ードリブルを始めるためには、ボールが手から離れる前にピボットフットを上げてはならない
ーパスもしくはショットをするためにピボットフットでジャンプすることはできるが、どちらかの足がフロアに着地する前にボールを手から話さなくてはならない- 動きながらまたはドリブルを終える時にボールをキャッチしたプレーヤーは、ストップしたりパスやショットをするために、2歩までステップを踏むことができる:(中略)
ーボールをキャッチした後ドリブルを始めるには、2歩目のステップを踏む前にボールを離さなければならない。
ー1歩目のステップは、ボールをコントロールした後にフロアについた片足または両足である
ー2歩目のステップは、1歩目のステップのあとにフロアについた反対の足または同時についた両足である
ープレーヤーの1歩目のステップがほぼ同時に両足でフロアについていたとき、ピボットをする場合はどちらの足でもピボットフットにすることができる。両足でジャンプした場合は、フロアに着地するまでにボールを手から離さなくてはならない
ープレーヤーが片足でフロアに着地したときには、その足しかピボットフットにすることができない
ープレーヤーは1歩目のステップで踏切、両足で同時に着地してもよいが、どちらの足でもピボットすることはできない。片足または両足のいずれかがフロアから離れたときには、足がフロアにつく前にボールを手から離さなくてはならない
ー両足がフロアから離れた状態から両足を同時にフロアについたときには、片方の足を離したときにもう片方の足がピボットフットになる
ードリブルを終えたあと、あるいはボールをコントロールしたあとに、連続して同じ片足でフロアに触れたり、連続して両足でフロアに触れてはならない(出典:JBAルールブック トラベリングのルール25-2-1より)
トラベリングが起きやすい場面
トラベリングが起きやすい場面には、どんな場面があるのでしょうか?試合を何百試合も観て、経験していると、どんな時に多くトラベリングがコールされるかがある程度わかってくるようになります。
そこで、ここからは「トラベリングが起きやすい場面」を先取りして紹介します。実際にその「トラベリングが起きやすい場面」になった時にあなたがトラベリングを審判にコールされないように準備をしておきましょう。
- ディフェンスの状況を見ずにプレイしている時
- 2人以上のディフェンスに囲まれた時
- ドリブルを突き出す瞬間
- ギャロップステップ
- ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時
上記5つの時に、トラベリングは非常に起こりやすいです。なぜトラベリングが起きやすいのか、審判はどこをトラベリングと見なしているのか、について紹介していきます。
ディフェンスの状況を見ずにプレイしている時
1つ目は「ディフェンスの状況を見ずにプレイしている時」です。
ディフェンスがどこにいるのかを確認せず、自分勝手にプレイをしていると、トラベリングになることがあります。
背中を向けた状態で、背後の様子を全く確認せずにボールをもらった瞬間にドリブルをつこうとすると、ディフェンスが目の前にいてドリブルがつけず、トラベリングになってしまう、というケースがよくあります。
2人以上のディフェンスに囲まれた時
2つ目は「2人以上のディフェンスに囲まれた時」です。俗にいう「ダブルチーム」や「トリプルチーム」をされた時に、トラベリングが起こりやすくなります。
なぜ起こりやすくなるのかについては、ディフェンスが2人以上で囲い込む時のポイントを踏まえて、紹介していきます。
そもそも、ダブルチームやトリプルチームを仕掛ける目的は「オフェンスからボールを奪う・攻撃権を奪う」ということです。
ディフェンスが2人以上でマークする時のポイントは、
この2つです。サイドラインやエンドラインは、それ以上外に出てしまうと相手ボールになります。ディフェンスはオフェンスが外に出てくれれば、ボールをマイボールにして、攻撃権を奪うことができるわけです。
また、オフェンスがドリブルを止めているということは、その場から移動することができないため、味方へのパスを探します。ダブルチームやトリプルチームをされていながらパスを探すときは、ディフェンスに囲まれているため、味方の位置がよく見えず、ジャンプなどをしながら味方を探します。
そして、ダブルチームを仕掛けられたオフェンスは焦ってしまうため、足が伸びきり踏ん張ることができなくなり、ディフェンスにプレッシャーをかけられた時に足が不意に動き、トラベリングをコールされてしまうのです。
ドリブルを突き出す瞬間
3つ目は「ドリブルを突き出す瞬間」です。
自分の目の前のディフェンスを交わすためにドリブルをつこうとした瞬間に、審判にコールされます。どのようなトラベリングになるかは以下の動画をご覧ください。
ボールを突き出すときに、ボールよりも「ピボットフット」が先に動いてしまうことで、トラベリングをコールされます。
ドリブルの突き出しに関しては「よくトラベリングが起こる」ということも審判はわかっているため、ボールを保持しているプレイヤーがドリブルを突き出す瞬間は特に足を見ています。(僕は審判の経験もありますが、ドリブルの突き出しはかなりよく見ます。)
なぜトラベリングが起こるかというと、ドリブルをついてディフェンスを抜き去りたいときは、スピードやクイックネスで抜き去りたいため、どうしても「急ぐ」形になります。
急いでドリブルをついてディフェンスを抜こうとすると、ドリブルよりも先に足が動いてしまい、トラベリングをコールされてしまうのです。
ギャロップステップ
4つ目は「ギャロップステップ」です。1つのステップの名前です。
ギャロップステップがなぜトラベリングが起こりやすいのかいうと、特有のルールに要因があります。
JBA(Japan Basketball Association:日本バスケットボール協会)の競技規則の「トラベリング」の欄にこのような表記があります。
プレーヤーは1歩目のステップで踏み切り、両足で同時に着地してもよいが、どちらの足でもピボットすることはできない。片足または両足のいずれかがフロアから離れたときには、足がフロアにつく前にボールを手から離さなくてはならない。
(出典:JBAルールブック トラベリングのルール25-2-1より)
おそらく、この項目が「ギャロップステップ」に該当するルールです。
ギャロップステップは、片足(あるいは両足)でジャンプをして、両足で着地をします。この着地をした後は足を動かすことができません。しかし、ギャロップステップの後に足を動かす人が多いため、トラベリングが起きやすい場面です。
ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時
5つ目は「ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時」です。
ルーズボールとは、どちらにもボールの保持権がない状態で、誰もボールを保持しておらず床を転がっている際のボールの状態を「ルーズボール」と言います。ルーズボールを掴む際には、ボールにいち早く触るために頭から飛び込むことが多いです。
画像のようにボールに飛び込み、掴んだボールを味方に渡すことはルール上OKなのですが、ボールを保持してから、床を転がったりその場に立ち上がってしまうとトラベリングをコールされます。
プレーヤーがフロアに倒れること、横たわること、座ること:
- ボールを持ったままフロアに倒れたり滑ったり、あるいはフロアに横たわったり座ったりしている状態で、ボールをコントロールすることは認められている
- その後にボールを持ったまま転がるか、立ち上がることはバイオレーションである
(出典:JBAルールブック トラベリングのルール25-2-2より)
トラベリングを極力なくすために意識すべきこと
トラベリングを極力なくすためには、どんなことに意識すればいいのでしょうか?
先ほど紹介した「トラベリングが起きやすい場面」の5つの場面で、審判にトラベリングをコールされないために意識すべきことを紹介していきます。
ディフェンスの状況を見ずにプレイしている時→ディフェンスを見る
ディフェンスの状況を見ずにトラベリングになってしまう場合には、ボールをもらう前にディフェンスの状況を確認しておくことが大切です。
ボールをもらう前にディフェンスの状況を確認することで、ボールをもらった後の動きを瞬時に決めることができますし、ボールのもらい方も工夫するようになります。
ディフェンスを見ていればすぐに解決する問題なので、「ボールをもらう前にディフェンスを見る」ことは、必ず頭の中にいれておいてください。
トラベリング防止に役立つだけでなく、オフェンスの動きをスムーズにさせる効果もありますよ。
2人以上のディフェンスに囲まれた時→ピヴォットを踏む
2人以上のディフェンスに囲まれた、ダブルチームやトリプルチームの際には、足が伸びきって踏ん張れないことが、トラベリングの原因です。
ダブルチームやトリプルチームでディフェンスをされることはよくあることなので、その場面に遭遇したら、味方を探す時に「ピヴォットを踏む」ことを意識してください。ジャンプして探そうとすると踏ん張れなくなります。ですから、きちんと踏ん張った状態でピヴォットを踏みながら、味方を探し、パスを出してください。
ドリブルを突き出す瞬間→ドリブルを先につく
ドリブルを突き出す瞬間にトラベリングが起こる原因は、ボールよりも先に足が動いてしまうことです。
ですから、ドリブルをつくタイミングを早くし、足よりもボールが先に動くようにしてください。それだけでトラベリングは無くなります。
ギャロップステップ→着地した後のことを考えておく
ギャロップステップの時にトラベリングが起こる原因は、着地した後に足を動かしてしまうことです。
着地をした後はその場から動けずにジャンプしてシュートをするかパスをするしかないので、ギャロップステップをした後のことを考えておきましょう。ステップの後には自分でシュートに行くのか、「あそこにパスを出す。」と決めておくのか。
あらかじめギャロップステップで着地した後のことを考えておくと、トラベリングは起こりにくくなります。
ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時→ボールをきちんと保持しておく
ルーズボールに飛び込み、床に寝転んでいる時のトラベリングは、敵が近くにいて交わすために床を転がったり、味方が近くにいなくて探すためにその場に立ち上がることが原因です。
ルーズボールを追いかけ、ボールに飛び込んだ際に周りに誰もいないのであれば、敵にボールを渡さないように、まずは保持をしておくことを考えましょう。ボールを保持しておくことを考えれば、相手ボールになることはまずありません。
まとめ
トラベリングのルールに関しては、この記事だけでわかりましたか?どこよりも詳しく、情報量も豊富にし、あなたのために届けてきました。
初心者の場合には、ピヴォットフット(1歩目)がわからずにトラベリングになるケースがよくあります。「3歩以上歩いてはいけない」という認識なので、ボールを持って2歩歩いたらもう動けないと思っている人が多いのです。
しかし、実はピヴォットフット(1歩目)ではない「フリーフット」は、ピヴォットフット(1歩目)が動かない限り、自由に動かすことができます。この事実を知っているといないとでは、プレイのしやすさも、プレイの幅も大きく変わってきますから、絶対に今のうちに覚えておきましょう。
また、トラベリングに関しては記事を読むだけではなく、実際に動いてみないと「どれがトラベリングか」はわからないので、この記事で学んだことを活かし、次の練習では必ずトラベリングの確認と、トラベリングにならないための動きを実践してみてください。
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