「テクニカルファールって何?」
「そのファールをコールされた場合、どんな処置になるの?」
本記事では、日本バスケットボール協会が出しているルールブックをもとに、ベンチに入るすべての人間に関係がある「テクニカルファール」について紹介します。
目次
テクニカルファールとは
テクニカルファールとは、試合中に身体の接触がない場面で発生する「スポーツマンらしくない不適切な言動やジェスチャー」が対象のファールです。
このファールは「言動」も対象なので、ベンチに座っているプレイヤーや監督・コーチたちもコールされます。
実際に、審判の判定に対しての不満を大きな声で叫んだり、注意をされた後も抗議し続けたことにより、テクニカルファールをコールされることもあります。
コート上のプレイヤーのテクニカルファール
コート上のプレイヤーの場合、相手チームや審判に対して抗議したり暴言を吐いたり、挑発行為を行ったりゲームの進行を妨げた時にコールされます。
例えば、審判の注意や警告を無視したり、肘を激しく振り回す、相手の目の前で手を振って視界を妨げるといった行為がテクニカルファールに該当します。
NBAでは、審判の判定に対しての不満を、大きなジェスチャーで表現した場合にテクニカルファールをコールされるケースが多いです。
ベンチの人間のテクニカルファール
ベンチの人間によるテクニカルファールも、相手チームや審判に対して抗議したり暴言を吐いたり、挑発行為を行ったりゲームの進行を妨げた時が該当します。
他にも、正当な理由なしに勝手にベンチエリアを離れるという行為も対象です。(理恵:交代要員が交代を申請する、コーチがタイムアウトを要求する以外のこと)
サッカーのように、ゴールを決めた時にベンチのプレイヤーも駆け寄るなどすると、テクニカルファールをコールされることがあります。
審判のジェスチャー
テクニカルファールが取られると、審判は両手を頭の上に回し、手のひらでT字を作ってジェスチャーします。
このジェスチャーは、「タイムアウト」の時のジェスチャーと似ているため、勘違いしやすいのですが間違えないようにしましょう。
JBAのルールブックに記載されているテクニカルファールの定義
テクニカルファールになる場合の定義を簡単に紹介しましたが、JBAが発行しているルールブックに記載されているテクニカルファールの定義も紹介します。
テクニカルファウルは、相手チームのプレーヤーとの体の触れ合いのない振る舞いであり以下が該当するが、これらに限るものではない:
- 審判からの警告を無視する。
- 審判、コミッショナー(同席している場合)、テーブルオフィシャルズ、相手チーム、あるいはチームベンチに座ることを許された者への敬意を欠く振る舞い、異論表現。
- 観客に対して無作法に振る舞ったり挑発したりする、あるいは煽動するような言動をとる。【補足】ベンチで立ち上がり異論表現を行うなどの行為を含む。
- 観客に対して無作法に振る舞ったり挑発したりする、あるいは煽動するような言動をとる。
- 相手チームのプレーヤーを挑発したり侮辱したりする。
- 相手チームのプレーヤーの目の前で手を振ったり、手をかざしたりして視野を妨げる。
- 肘を激しく振り回す。
- バスケットを通過したボールに故意に触れること、またはボールが素早くスローインされるのを妨げて もしくはゲームや後半の開始前にコートに来るのが遅れることで、ゲームの進行を遅らせる 。【補足】審判にボールを返さずにゲームの進行を遅らせるような行為等も上記項目に該当する。
- フェイク(ファウルをされたと欺くこと)。
- リングをつかんで体重をかける。ただし、ダンクショットのときにやむを得ず瞬間的にリングをつかむことは差し支えない。また自分や他のプレーヤーが怪我をするのを避けようとしたと審判が判断したときは、リングをつかんでもテクニカルファウルとはしない。
- 最後のフリースローでボールがリングに触れる前にゴールテンディングのバイオレーションをしたときは、オフェンスのチームに1点が与えられ、さらにそのディフェンスのプレーヤーにテクニカルファウルが宣せられる。
(出典:JBAルールブック テクニカルファウルのルール36-2-1より)
テクニカルファールは体の触れ合いのないところでコールされるファールです。
そのため、冷静にプレイをしていれば、まずテクニカルファールがコールされることはありません。
例えば審判のジャッジに不服があり、感情的になって行動や言動に移してしまうと、テクニカルファールがコールされる可能性も高くなります。
テクニカルファールの処置
コート上のプレイヤーによってテクニカルファールがコールされた場合、ペナルティによって相手チームにフリースロー1本が与えられ、その後プレイが再開されます。
ルールの変更に伴う、テクニカルファール後の処置【最新版】
テクニカルファールを受けたチームが得られるフリースローは1本というルールはそのままですが、ファールをもらったチームに攻撃権が移るというルールはなくなりました。
NBAも、FIBAも、Bリーグもテクニカルファールの後は1本のフリースローを行なった後、攻撃権は変わることなく試合は再開されます。
2019年4月から、日本国内の各カテゴリーでも適用されています(ミニバスを除く)。
テクニカルファールがコールされたら、相手チームに1本のフリースローが与えられるのですが、フリースローは直ちに行います。
フリースローが行われた後は、テクニカルファールがコールされた時にボールを保持していたチームか、攻撃権が与えられることになっていたチームのスローインで試合が再開されます。
- フリースローは、他のファウルによって適用される罰則の順序にとらわれることなく、さらにすでに行われている罰則の途中であっても、それらに関わらず直ちに行う。テクニカルファウルのフリースロ ーの後は、テクニカルファウルが宣せられたときにボールをコントロールしていたか、ボールが与えられることになっていたチームよって、テクニカルファウルの罰則のためにゲームが止められた時点からゲームを再開する。
(出典:JBAルールブック テクニカルファウルのルール36-3-2より)
テクニカルファールはチームファールに数えられる?
コート上のプレイヤーによるテクニカルファールは、プレイヤー自身に1つのテクニカルファールが加算され、チームファールにも加算されます。
ベンチに座ることを許可された者(マネージャーやアシスタントコーチも含む)の場合には、ヘッドコーチに1つのテクニカルファールが記録されますが、チームファールには加算されません。
ベンチプレイヤーによるテクニカルファールであっても、相手チームにフリースロー1本が与えられた後は、ルールに則って試合が再開されます。
なお、テクニカルファールによって行われるフリースローのルールは、パーソナルファールの時とは若干違ってくるのですが、詳しいフリースローのルールは以下の記事にて詳しく触れていますので、併せてご覧ください。
ヘッドコーチ自身が2回テクニカルファールを犯す、もしくはベンチに座ることを許可された人たちが3回テクニカルファールを犯すと、ヘッドコーチは退場しなければいけません。
ヘッドコーチは以下の場合、失格・退場(ゲームディスクxオリケーション)になる。
- ヘッドコーチ自身のスポーツマンらしくない振る舞いによるテクニカルファウル「C」が2個記録された場合。
- チームベンチに座ることを許可された人物のスポーツマンらしくない振る舞いによって、ヘッドコーチにテクニカルファウル「B」が3個記録された場合、あるいはそれらのテクニカルファウルとヘッドコー自身のテクニカルファウル「C」とを合わせて3個のファウルが記録された場合。
(出典:JBAルールブック テクニカルファウルのルール36-2-4より)
アンスポーツマンライク・ファール
テクニカルファールとは種類の違うファールですが、この「アンスポーツマンライク・ファール」も重大なファールなので紹介します。
アンスポーツマンライク・ファールとは、バスケを正当にプレイしていない危険行為と審判に判断された場合にコールされます。
犯したファールが相手の首より上(顔や頭)を叩いている場合や、怪我をさせる可能性のある危険なファールだと判断された場合にコールされます。
このファールがコールされた場合、相手チームにフリースローとその後の攻撃権が与えられることも覚えておきましょう。
アンスポーツマンライク・ファールは、NBAでは「フレイグラントファール」と呼ばれており、危険度合いによってレベル1とレベル2の種類があります。
レベル2のフレイグラントファール(フレイグラント2)をコールされた場合には一発退場、レベル1(フレイグラント1)の場合には2度犯すと退場処分が科されます。
ディスクォリファイング・ファール
ディスクォリファイング・ファールとは、極めて悪質かつ非常に危険とされるファウルのことです。
このファールをコールされると一発退場となり、試合が終わるまでロッカールームにいるか、コートのある建物から出て行かなければなりません。
例えば、肘を相手の顔面にぶつけたり、審判に手を上げたりするといった行為がディスクォリファイング・ファールに該当します。
大きな怪我につながるコンタクトや、暴力行為・破壊行為と判断された場合にコールされると覚えておくと良いでしょう。
また、このファールがコールされた際には、相手チームにフリースローと直後の攻撃権が与えられます。
コーチや監督が審判にあまりにもしつこく抗議し続けることで、ディスクォリファイング・ファールを宣告されるケースもあります。
もしヘッドコーチが退場処分を受けた場合、基本的にはスコアシートに記載されているファーストアシスタントコーチが、ヘッドコーチの役目を引き継がなければなりません。
まとめ
今回はテクニカルファールについて触れてきました。
バスケで発生するファールは身体の接触によるものと考えられがちですが、接触がなくても「不適切」と判断された場合には、テクニカルファールをコールされることもあります。
テクニカルファールは、ベンチプレイヤーもコーチ・監督もコールされるファールです。
過激な発言をしたりジェスチャーをするとコールされる場合があるので、心は熱く、頭は冷静にプレイできるように心がけておくといいかもしれません。
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