NBAがなぜ人気なのか。不思議に思ったことがある人も、中に入るのではないでしょうか。
僕は、NBAが人気の理由の1つとして、移籍市場が活発で多くのプレイヤーが移籍することがあると思っています。移籍が多いとなぜ人気なのでしょうか?移籍が少なくても人気は出るんじゃないの?
僕の独断と偏見で、移籍が多いことが人気の理由であるワケを書いていきます。
目次
なぜ移籍の多い少ないに触れるのか
今回、移籍の多い少ないに触れようと思ったのは、Twitterで「トレードもFAもアメリカ4大スポーツではつきものだからそれが嫌なら移籍が全くないスポーツを見た方がいい」と言うツイートを見たからです。
中には「移籍が多いのは嫌い」だと感じている人もいるのだと思うのですが、僕自身は移籍が多いことに関して大賛成です。
僕自身も「移籍が多いこと」に対して、様々な考え方もあるので、是非知ってもらいたいと思いこの記事を書きました。
次の章から、移籍が多い場合少ない場合のメリット・デメリットについて触れていきます。
移籍が多いことのメリット
まずは、移籍が多いことのメリットを下記3つに分けて紹介していきます。
- リーグ全体のレベルを下げない
- 競争を常に生むことができる
- リーグ全体に活気が出る
リーグ全体のレベルを下げない
まず1つ目は、リーグ全体のレベルを下げない、と言うことにあります。
移籍が多くプレイヤーの移り変わりが激しいと、それがリーグのレベルを下げないもしくはレベルアップに繋がります。
移籍の多いスポーツと言えばNBAの他にNFLやMLB、NHLのアメリカの四大スポーツの他にはヨーロッパサッカーも当てはまりますね。
チームの観点から見ながら「リーグ全体のレベルを下げない」と言う点に言及していきましょう。
例えばトレードでプレイヤーを出すとなれば双方のチームでお互いに「メリット」がなければ行いません。
各チームにはチームの色や文化、プレイスタイルがあり全てのチームが違いますから当然合う合わないはプレイヤーにもあります。
合わないプレイヤーがいれば合いそうなプレイヤーとトレードする。それがトレード相手にとっても同じようにメリットがあれば、合意に至るわけです。
そこで、プレイヤーは花開いて未知なる化学反応(ケミストリー)が生まれるわけですね。
2017年のオフ、ブルズとウルブズのトレード、ペイサーズとサンダーのトレード、この2つのトレードはブルズとペイサーズにとっては見返りが全くないとみられていました。
まずはブルズとウルブズの間に起きたトレードを確認します。
ブルズ
- ジミー・バトラー
- ジャスティン・パットンとの交渉権
↑↓
ウルブズ
- ザック・ラビーン
- クリス・ダン
- ラウリー・マルッカネンとの交渉権
続いてはペイサーズとサンダーの間に起きたトレードを確認します。
ペイサーズ
- ポール・ジョージ
↑↓
サンダー
- ビクター・オラディポ
- ドマンタス・サボニス
ブルズは出だしこそつまづいたものの、クリス・ダンは31試合に先発し、16-17シーズンよりも平均得点は10点、平均アシストは4つも増やしています。ラビーンは大怪我から復帰したばかりですが、怪我をする以前のようなダンクも披露しています。
ペイサーズは、シーズン始まって蓋を開けてみたらオラディポはエースとして君臨し、平均得点も10点近く向上させています。17-18シーズンのMIP賞(Most Improved Player:最も成長したプレイヤーに贈られる賞)を受賞しました。
サボニスも控えから万能型PFとしてチームを支えています。
この2つのトレードによってブルズとペイサーズは若返りに成功。結果的にはトレードをした双方に見返りがあったわけです。ペイサーズは勝率5割りを超えプレイオフに進出し、ブルズはプレイオフこそ逃したもののシーズン途中に7連勝を記録しました。
また、トレードに限らずシーズン中にはFAのプレイヤーと契約をして穴埋めをするなど、各チームがチームのために補強をすることで結果としてリーグのレベルが落ちないのです。
事実、16-17シーズンと17-18シーズンのリーグ全体の1試合平均FG%や平均得点を見てみると、FG%は45.7%と45.9%、平均得点はどちらのシーズンも105.6点です。
(参考:https://basketball-reference.com)
大きな移籍があった17年オフ、順位の変動は前のシーズンと比べてもあるものの、リーグ全体のレベルが落ちていないことを物語っています。
競争を常に生むことができる
2つ目は競争を常に生むことができると言う点です。
移籍が多いと言うことは、どのプレイヤーがいつ首を切られてもおかしくないということです。
[twitterEmbed url=”https://twitter.com/bskbsketter/status/953100482490220544″]最近の話をすれば、14-15シーズンウォリアーズの優勝に貢献したボーガットは、キャバリアーズに移籍した最初の試合で怪我をしてしまいすぐさま解雇。17-18シーズンはレイカーズに加入しましたが、1月に解雇。
解雇されることもよくあるため、プレイヤーは必死になって練習してプレイをしますよね。チームの戦術にフィットして長いプレイタイムをもらいチームに貢献することでそのチームに必要なプレイヤーになります。そうして長期契約を勝ち取ったり、フランチャイズプレイヤーと呼ばれるまでファンに愛されます。
同じチームにいるプレイヤーはチームメイトですが、言葉を変えると同じポジションの椅子を争うライバルです。そのライバルに勝つためには競争をしなければなりません。ポジションが確約されることはありません。
中には例外的なプレイヤーもいますが、ほとんどのプレイヤーが毎試合毎日競争をしているのです。だからこそチーム内に活気が生まれるわけですね。
リーグ全体に活気が出る
リーグ全体に活気が出るのが3つ目のメリットです。
これは主にファンの影響に寄るところが大きいかもしれません。
例えば、16年オフにサンダーからウォリアーズにデュラントが移籍した時には、TwitterなどのSNSは大騒ぎでしたよね。早く開幕してほしい、アルティメット4を早くみたいと言う声も多かったです。
スタープレイヤーが移籍をすると、常に「どんなプレイを見せてくれるんだろう?」という話題がついて回ります。
ここで、2017年のオフに移籍した主なビッグネームをまとめてみました。
- カーメロ・アンソニー
- ポール・ジョージ
- アイザイア・トーマス
- カイリー・アービング
- ジミー・バトラー
- クリス・ポール
- ドウェイン・ウェイド
- デリック・ローズ
17年のオフに限らず、18年のオフも19年のオフもいつも以上に活気のあるオフだったように感じます。
また、ファンだけでなくプレイヤーたちのモチベーションも向上すると考えられますね。「古巣には負けられない」「あのビッグネーム揃いのチームを倒そう」「俺の価値を証明しよう」こんな考えを持つプレイヤーも多くいるのではないでしょうか。
移籍が多いことのデメリット
続いては、移籍が多いことのデメリットを下記の3つに分けて紹介していきます。
- フランチャイズプレイヤーがいなくなる
- 育成に力を入れる必要がなくなる
- 資金力のあるチーム・ブランド力のあるチームに競争優位性がある
フランチャイズプレイヤーがいなくなる
デメリットの1つ目は、フランチャイズプレイヤーがいなくなることです。
フランチャイズプレイヤーの定義は非常に曖昧ですが、その地域・チームの顔のプレイヤーのことを指します。
- コービー・ブライアント
- ダーク・ノヴィツキー
- ティム・ダンカン
- ポール・ピアース
レイカーズに移籍しましたが、レブロン・ジェームズもキャバリアーズのフランチャイズプレイヤーと言ってもいいと思っています。彼らはほとんど移籍をしていません。
コービー、ダンカン、ノヴィツキーは同一チーム一筋。ピアースは4チームに所属しましたがキャリアの大半を過ごしたセルティックス、レブロンもキャバリアーズには通算で11シーズン在籍しチャンピオンリングももたらしています。
デュラントはサンダーでずっと優勝を目指して戦っていれば言われたかもしれませんが、ウォリアーズに移籍してしまったので、フランチャイズプレイヤーと呼ばれることはないでしょう。
地元からもファンからも引退をしてからも愛され続けるプレイヤーが減ってしまうのはデメリットです。
育成に力を入れる必要がなくなる
2つ目は育成に力を入れる必要がなくなることにあります。
もちろんこれは100%育成に力を注ぐ必要がないかと問われたら、もちろん育成はした方がいいに決まっていますが、単純な話、補いたいところには適切なプレイヤーを獲得すればいいので極論育成をしなくてもよくなります。
そうなると若手が育たなくなり、チームのレベルアップは望めません。
大物を獲得せずともチームのレベルが高いスパーズは強力な育成システムが整っているはずです。数年後のことを見越して若手と中堅、ベテランを上手く融合させているチームが多いので、「育成に力を入れる必要がない」というのは極論です。
資金力のあるチーム・ブランド力のあるチームに競争優位性がある
3つ目は資金力のあるチーム・ブランド力のあるチームに競争優位性がある、と言うことです。
細かいところの話をすると、ある一定の金額を越えるとラグジュアリータックス(贅沢税)と言うものをリーグに払わなければならないのですが、ややこしくなるのでその話は一旦なしで考えます。
資金力のあるチームと言えばレイカーズやマーベリックス、ウォリアーズなんかはそうですね。
この資金力と言う部分にはGMやチームグッズの売れ行きなども関係してきますが。
資金力があるとプレイヤーにはより多くの金額でオファーを提示することができます。プレイヤーにとってバスケは仕事なのでここでもらうお給料で生活をします。
となれば少しでも多くもらいたいのが本音。だとしたら、少しでもお給料の高いチームに移籍したいと思うでしょう。
海外サッカーの移籍事情
NBAではなく海外サッカーの話をしますが、ユベントスと言うイタリアの名門で活躍をしていたアルゼンチン代表のカルロス・テベスは、年俸およそ50億円で中国のクラブに移籍しました。
中国リーグのレベルや大会のレベルを考えると、イタリアやヨーロッパのリーグに比べるとはるかに価値は低いのですが、お金を稼ぐために中国リーグへ移籍するプレイヤーは数多くいます。
また、サッカーに詳しくない人でも知っているであろうレアル・マドリードやバルセロナは、毎年巨額の移籍金を注ぎ込んで大物を獲得します。
一方で同じスペインリーグの下位クラブや資金力のないクラブはビッグネームを獲得することができないので、戦力を爆発的に強力にすることはできないため毎年同じようなリーグ構図になっています。
ヨーロッパサッカーはドラフト制度がないため、各クラブのエージェントが色々な国に行ってスターの原石を見つけ出してきて、そのプレイヤーを引っ張ってきて育成をして、チームを強くする事例もあります。
ビッグネームを獲得できない資金力のないクラブは、一気に1年で化けることはほとんど有りえません(15-16シーズンのプレミアリーグで優勝した年のレスターシティは例外)。
NBAではドラフト制度があるのでいいのですが、海外サッカーにはドラフト制度がありませんし、サラリーキャップの制限等もなく、お金を持っているチームはその分補強にお金を回すことができます。
そのため、上位クラブと下位クラブとでは大きな実力差が生まれてきてしまうのです。
なお、ブランド力のあるチームが優位と言うのは、例えばレイカーズやセルティックス、ニックスなどですね。レイカーズは近年ドアマットチームとして下位に沈んでいますが、何か特別なブランド力があります。レブロン・ジェームズも移籍してきました。
以上のことを踏まえると、資金力もあってブランド力もあるチームは、NBA界の移籍市場ではかなり有利です。
移籍が全くないことのメリット
ここまでは、移籍が多くあることによるメリットやデメリットについて触れてきましたが、次の章からは移籍が全くない場合のメリットを下記2つに分けて紹介していきます。
- 長い目で見てプレイヤーを育てられる
- 資金力がないチームでも強くなれる
長い目で見てプレイヤーを育てられる
1つ目は長い目で見てプレイヤーを育てることができるという点です。
移籍が全くないと言うことは、もともと自チームにいるプレイヤーで長きの間を戦っていくことになります。と言うことは、チームを強くしたければ育成に力を入れる必要があると言うことです。
例えば日本のプロ野球は移籍がかなり少ないので、ドラフト指名したプレイヤーなど若い時期からチームにいるプレイヤーを育てていきます。見極めるタイミングは非常に重要ですが、プレイヤーも1年目仮にダメだとしても2年目3年目とまだ猶予は残されていくので、準備する時間が多くあります。
プロ野球の例で言うと、「育成契約」でソフトバンクに入団した千賀滉大投手は、チーム側の育成の賜物とも言えるでしょう。日本代表にも選ばれていますし、ノーヒットノーランも達成しています。
話をNBAに戻しますが、育成力のあるチームは上位に食い込んできますね。
17-18シーズンのいい例で言えば、開幕戦で負傷離脱したゴードン・ヘイワード要するセルティックスは、ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンが順調に成長しています。
18-19シーズン現在、22シーズン連続でプレイオフに出場しているスパーズは育成力の賜物と言えるでしょう。
移籍が少なくなればなるほど、育成をするためのスタッフ陣にかかってきます。
資金力がないチームでも強くなれる
2つ目は資金力がないチームでも強くなることが可能だと言う点です。上記「長い目で見てプレイヤーを育てられる」と言うことにも関係してきます。
先ほど資金力のあるチームが移籍市場では優位性があるとお伝えしましたが、お金のないチームでもプレイヤーを育成し生え抜きのプレイヤーを育てていくことで、次第に強いチームになっていくでしょう。
特にヨーロッパサッカーの資金力の劣るクラブは、世界中から将来有望な10代を招き入れ、下部組織で育成をしていきます。
例えば日本プロ野球界の広島東洋カープは、市民球団のため巨人や横浜、ソフトバンク等に比べると資金力でかなり劣ります。
それでもリーグ優勝を果たしたりここ数年強い広島になっている背景には、育成力が挙げられるでしょう。
移籍が全くないことのデメリット
続いては、移籍が全くないことによるデメリットを、下記2つのポイントから紹介していきます。
- チーム内が停滞する
- リーグ全体の盛り上がりに欠ける
チーム内が停滞する
1つ目は、チーム内が停滞することです。
どういうことかと言うと、プレイヤー同士の競争は生まれますが、移籍が多い場合に比べるとチーム在籍年数も伸びるので、1年2年では解雇されにくくなります。先ほどメリットで挙げましたが長期的な目で見て判断していくので、チームはプレイヤーをすぐには手放さなくなります。
すぐにはプレイヤーを手放さないことにより、競争が緩くなりチーム全体の成長も鈍化していきます。またフレッシュさもなくなるので勢いがなくなったり、新しい化学反応(ケミストリー)が起こることは考えにくくなります。
リーグ全体の盛り上がりに欠ける
2つ目はリーグ全体が盛り上がりに欠けてしまうと言うことです。考えてみてください。ここ16~17から17~18シーズンのNBAの移籍市場を振り返ってみましょう。
- デュラントがウォリアーズに移籍
- デマーカス・カズンズがペリカンズに移籍(2018年にはウォリアーズに移籍)
- カイリー・アービングとアイザイア・トーマスのトレード
- ドワイト・ハワードがホークス→ホーネッツ→ウィザーズと移籍
- ドウェイン・ウェイド、デリック・ローズ、ジェイ・クラウダーがキャバリアーズに移籍(2018年には完全解体)
- クリス・ポールがロケッツに移籍
- ポール・ジョージ、カーメロ・アンソニーが移籍したことでサンダーに新BIG3誕生(2018年にカーメロはロケッツへ移籍)
- ジミー・バトラー、アンドリュー・ウィギンズ、カール・アンソニー・タウンズのヤングBIG3誕生
- レブロン・ジェームズがレイカーズに移籍
- カワイ・レナードとデマー・デローザンのトレード
彼らが全く移籍をせずにドラフトされた当初のチームにずっと在籍していたらどうなったでしょうか?
- ウォリアーズはファイナルに進んで優勝できたでしょうか?
- ペリカンズのスーパースター同士のツインタワーを見ることができたでしょうか?
- キャバリアーズとセルティックスの開幕戦があんなにも注目されることはあったでしょうか?
- 強力バックコート陣を形成し、超オフェンシブなロケッツを見ることはできたでしょうか?
- ウルブズがカンファレンス4位にいることが想像できたでしょうか?
以上全てのことは、「移籍」があったからこそ起こったものです。
もっと前に遡れば、
- セルティックスのピアース、ガーネット、レイ・アレンのBIG3
- レイカーズのコービー、ガソル、ハワード、ナッシュの4人
- ヒートのレブロン、ウェイド、ボッシュのBIG3
このような夢の共演は見ることができなかったわけです。
そう考えて見ると、全ては移籍があるからこそ成り立っているのです。
上記で挙げたような移籍がなかったらどうでしょう?
今ほど「このプレイヤーはトレードしたほうがいい」とか「来年あのプレイヤーがFAになるから、獲得するためのサラリーキャップを空けるためにこいつは放出することを考えよう。」などという考えが出てきていたとは思えません。
この議論でTwitterなどのSNSが盛り上がることもありません。
となれば、今ほどの人気がNBAにはなかったかもしれないですよね。
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まとめ
ここまでかなりの文量書いてきました。僕は以上のような考えを持っています。
そして、リーグが毎年面白くて観ていてハラハラドキドキするのは、移籍がたくさんあるからこそだと僕は信じています。だからこそ今後も移籍はたくさんあったほうが面白いはずです。そして、彼らはこの移籍によって契約を勝ち取ることが生きるために必要なことなのです。
そう考えてみると、プレイヤーの日頃の行いからプレイから全ての見方が変わってくると思いませんか?
ただ「プレイ」だけでみるのではなく、そのバックグラウンドまで考慮に入れることができれば、彼らのことが今以上にわかるようになるし、好感を持てるようになるのでは?と感じました。
[…] 移籍が多いことで起こるメリットデメリットに関しては別記事で取り上げてるから、「移籍が多いからこそNBAもNFLもMLBもNHLも大人気なスポーツ」を見てもらいたい。 […]